当社では、Web集客のサービスを提供していますが、当社の技術でもってしても、SEM(検索エンジンマーケティング)によるWeb集客が難しい業種があります。SEO対策やランディングページを制作しても、
その業種に該当する場合は、Web集客コンサルティングで増収増益しにくい、または費用対効果が悪いです。その業種とは、次の6種類です。
- 単価の安い商品やサービスの販売
- 商圏が狭い地域密着のサービス
- 新規参入者が少ない成熟した業界
- 入札でないと受注できない商品やサービス
- Web集客が飽和している業種
- ブランド品のEC通販
ただし、ブランディングやSNSなどのプロモーションなどの別の手法はあります。
このコラムでは、ホームページ集客をお考えの企業様に、ホームページ集客の費用対効果がどうかをご判断いただけます。ホームページ制作費などがムダにならないようにお役立ていただけたらと思います。
SEMとは?
SEMとは、検索エンジンマーケティングの略で、ネット検索で集客をする手法のことです。
10年ほど前は、SEMという言葉はネット集客で主流でしたが、現在はあまり聞かれなくなってきました。とはいえ今現在では、SEMは強力な販売チャンネルの一つとして当たり前のことです。ネット集客を考えている企業は、「SEM」という言葉を知っておく必要があります。
商品やサービスを探している人は、検索エンジンでネット検索をします。その検索結果から、関心のあることが書かれていそうなホームページを1つ、もしくは複数を閲覧します。それらのホームページの中から、お問い合わせをしたり購入をしたりします。
SEMによるホームページの訪問は、自然検索エリアとリスティング広告エリアに掲載されたホームページが選ばれます。
自然検索エリアに自社ホームページが掲載されるためには、SEO対策を行います。リスティング広告エリアに表示されるためには、リスティング広告に登録し課金します。
SEMの成果数を高めるためには、検索結果に表示される回数が多くなれば良いです。しかし、リスティング広告の場合は費用がかかりすぎる場合があります。SEO対策の場合は、検索結果に勝手に表示されるので、リスティング広告よりも費用を抑えることができる場合があります。
ロングテールキーワードでのSEO対策は、コストパフォーマンスが高いです。たくさんのロングテールキーワードでSEO対策をする手法のことを、ロングテールSEOといいます。
ほとんどの業種で、このようなSEMによるWeb集客が可能ですが、一部の業種では集客ができない、もしくはコストがかかりすぎる業種があります。その業種は、冒頭で紹介した6種類です。
以下、6種類の業種をご説明いたします。
SEMで集客できない業種
1.単価の安い商品やサービスの販売
最初に取り上げるのは、生活雑貨や日用品、食料品などの単価の安い商品やサービスを販売している業種です。こういった業種のホームページ集客は、費用対効果が合いません。
SEO対策を組み合わせてのホームページ集客では、費用が最低でも50万円はかかります。50万円だと安いかもしれません。
仮にSEMで初期費用が50万円かかったと想定しましょう。計算を簡単にするために、ランニングコストがかからないものとします。ホームページ制作費50万円を、ホームページ集客の効果によって償却していくとなると、営業益率が20%とすると、250万円の売上高を増加させなければなりません。生活雑貨の値段が1,000円だったとして250万円の売上高を得るためには、1,000個の商品を売る必要があります。
例えば、1つ1,000円の特殊な洗剤を販売したとしましょう。50万円でホームページを制作して、SEMを開始したとします。1本売れたら500円の粗利益だったとします。500円を積み重ねて、50万円のホームページ制作費を償却するわけです。つまり、洗剤を1,000本売らなければなりません。
つまり、費用対効果が合わないのです。
2.商圏が狭い地域密着のサービス
商圏が狭い地域密着のサービスとは、美容院やクリーニングなどの業種です。こういった業種は商圏が狭いので、ネット検索による集客は費用対効果が合いにくいです。
例えば、駅前にクリーニング屋の店舗が1店舗あったとしましょう。駅前のクリーニング屋の存在は、駅を利用している人であれば、誰でも知っています。引っ越ししてきたばかりの人でない限り、ネット検索でわざわざクリーニング屋を調べることはありません。
ただし、特殊なクリーニングを行っている場合は別です。特殊なクリーニングは、通常のクリーニング屋さんでは行っていないので、商圏が広くなります。すると、地区町村名と特殊なクリーニングのキーワードの組み合わせで検索され、お店の存在を訴求できる場合があります。
つまり、地域密着といえども、地区町村レベルの広さの範囲まで商圏が広がった場合は、SEMが可能になる場合があります。クリーニング屋さんでも、多店舗展開をしている場合は、事業の商圏が地区町村レベルまで広がるので、スケールメリットにより費用対効果が合う場合があります。
3.新規参入者が少ない成熟した業界
新規参入者が少ない成熟した業界とは、例えば製鉄や造船などの業種です。製鉄や造船を行っている企業はごく限られます。また、新規参入するとしても多大な資本金が必要となり、参入が容易ではありません。
そういった業種の企業を探す場合は、すでにブランディングができている状態ですので、ネット検索でわざわざ企業を探さないのです。
ただし、成熟した業界といえども、知名度の低い中小企業しかない場合は、ネット検索で探す場合があります。その場合は、SEMの効果が出てきます。またネット検索者は、上位ヒットした企業のいくつかのホームページを見比べて、お問い合わせするかどうかを決めるため、ホームページの内容を充実させておいた方が良いです。
4.入札でないと受注できない商品やサービス
入札でないと受注できない商品やサービスを代表するのは、自治体が発注する建築土木工事でしょう。
自治体の入札で仕事を得ている企業は、いくら立派なホームページを制作しても、入札しなければ集客ができません。
もし、入札でない方法で集客することを検討するのであれば、Web集客は有効な手段となりえます。
ただし、その場合も大きな規模の建築物の場合は、やはり入札になるでしょうから、ホームページでの集客はできません。
5.Web集客が飽和している業種
Web集客が飽和している業種とは、例えばホームページ制作の事業です。ホームページ制作会社は、自社の集客をホームページで行っていることが多いため、地域密着型の営業エリアを設定していたとしても、都心であればあるほど競合他社が多くなります。
当社自身、ホームページ制作は自社ホームページからお問い合わせをいただくことは少なく、当社の技術力をご存じの営業会社様がマッチングしてくださることが多いです。
6.ブランド品のEC通販
大手の化粧品ブランドやサプリメントなど、ブランド品を仕入れてEC販売する場合です。
例えば、大手のサプリメントをネット検索で探す場合には、ブランド名で検索する人がほとんどだと思います。その場合、大手ブランドのホームページが1位にランクインするため、サプリメントを販売している企業は、上位ヒットさせることは不可能だといえます。
まだ、モールに出店する場合には可能性はありますが、自社のECサイトを制作しての集客は不可能です。
SEMで集客できる条件
上記では業種別にSEMで集客できない、もしくは費用対効果の悪いものを述べました。上記の業種であったとしても、費用対効果に見合わない費用をかけると、SEMでWeb集客が可能な場合もあります。
では、一企業がSEMで集客できない条件を述べたいと思います。それは、次のどれかに該当する場合です。
- 商品・サービスをネット検索で探している人がいること
- 検索されているキーワードで上位ヒットさせられること
- 競合ホームページと比べて商品・サービスの魅力があること
- 地域密着事業の場合は地域の人に訴求すること
- ネット検索して誹謗中傷が出ていないこと
商品・サービスをネット検索で探している人がいること
SEMでの集客は、ネット検索した人が対象顧客です。ネット検索で探されない商品やサービスは、SEMで集客はできません。例えば、よほど特殊な場合を除いて、食料品はネット検索で探すことはなく、地元のスーパーマーケットで購入することがほとんどのはずです。
ただし、今はネット検索で探されない商品やサービスであったとしても、人々の認識が変化したり、産業構造や人口構造が変化したりした場合には、ネット検索で探されるようになる場合もあります。その変化を読み取ることは大事です。
検索されているキーワードで上位ヒットさせられること
検索されるキーワードでネット検索したときに、自社ホームページが表示されることで、SEMによる集客が可能です。そこで、SEO対策やリスティング広告などによって、検索結果に表示されるようにしなければなりません。
今は少なくなりましたが、「自社名で検索したら上位ヒットしている」と満足されている方はいらっしゃることでしょう。幼稚園や有名店は別として、自社名で検索して商品やサービスを購入しようとする新規顧客は皆無だと思ってください。
競合ホームページと比べて商品・サービスの魅力があること
ネット検索では、検索結果の上下に競合他社のホームページが表示されます。見込み客は、それらの企業で商品やサービスの内容、価格などを比較して、どの企業で購入するかを決めます。
つまり、自社の商品やサービスが、競合ホームページと比べて魅力があることで、自社商品を選んでもらえます。
競合ホームページの商品やサービスの魅力を比べて、改善できるところは改善していってください。
地域密着事業の場合は地域の人に訴求すること
地域密着でリフォーム業をしているとしましょう。遠く離れた遠隔地から注文があっても、そこまでの移動コストが高くなってしまい、遠隔地にある地元業者と相見積もりになったら負けてしまうことでしょう。
全国展開しているリフォーム業者であれば、「キッチンリフォーム」や「バスリフォーム」などの地域名を含まないキーワードで上位ヒットさせることに意味はありますが、地域密着で商売をされている場合は、地区町村名と組み合わせたキーワードでSEO対策をして、地元で検索している人を対象とすべきでしょう。
ネット検索して誹謗中傷が出ていないこと
自社名や自社商品名で検索した場合に、誹謗中傷のホームページが上位ヒットしてくる場合は、SEMが完全にできないわけではありませんが、集客が難しくなります。
以前に、建築業の企業のお客様が、ネット検索したら誹謗中傷のホームページが出てきて、受注数が半減し、倒産してしまった企業がありました。また、太陽光発電の会社でも同様で、クレームが相次いで倒産した会社がありました。
どちらの会社も、真面目な社長でしたが、従業員の不祥事や経営の甘さなどによって、誹謗中傷に至りました。
誹謗中傷が出てきそうな会社は、SEMで集客ができてしまったら余計に誹謗中傷が出てくる可能性があります。そうなる前に、立派な会社になるように社内改革を同時に行うことが理想的です。
以上、ホームページを制作しSEMで集客ができない、もしくは費用対効果が合わない業種と、ホームページで集客できる条件をまとめました。
当社では、SEMによるWeb集客コンサルティングだけでなく、新規制作やリニューアルでの集客ホームページ制作、経営理念構築・浸透や新商品開発など、立派な会社になるための社内改革のソリューションもご提供しています。ご興味のある方は、お電話もしくはお問い合わせフォームより、ぜひご連絡ください。
ホームページ集客をお考えの企業様が、ホームページ制作費などがムダにならないようにお役立ていただけたら幸いです。
この記事の著者
経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)
国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。