社長の夢実現への道

FMEAを定着させたいのにセミナー受講で覚えただけでは形骸化する理由

投稿日:

FMEAを定着させたいのにセミナー受講で覚えただけでは形骸化する理由

皆様の会社では、FMEAを作成した後も継続的に見直し、活用できているでしょうか。

「FMEAセミナーを受講し、一度はFMEAを作成した。しかし、その後は更新されず、いつの間にか誰も見なくなってしまった。形骸化してしまった。」このような状況は決して珍しくありません。

FMEAの価値は、「シートなどを作成すること」ではなく、「継続して活用すること」にあります。

本コラムでは、FMEAが形骸化する理由と、企業文化として根付かせるための考え方をご紹介します。

FMEAが「続かない」という現実

前回のコラム「FMEAセミナーを受けただけではFMEAが機能しない理由とは?」では、FMEAセミナーを受けるだけでは導入できない理由についてご説明しました。

では、FMEAを導入できた企業は、すべて成功しているのでしょうか。残念ながら、そうではありません。実際には、一度FMEAのシートなどを作成したものの、その後ほとんど更新されず、棚に保管されたままになり、せっかく導入したFMEAが形骸化している企業が少なくありません。

  • 担当者が異動すると活動が止まる。
  • 設計変更や工程変更があっても見直されない。
  • 市場で発生した不具合が反映されない。

このような状態では、FMEAは本来の役割を果たしているとは言えません。AIAG&VDA-FMEAでは、FMEAを「生きた文書(Living Document)」として継続的に更新し、改善していくことが求められています。

つまり、FMEAは「作ること」が目的ではなく、「使い続けること」に価値があるのです。

定着しない最大の原因は、「目的」が共有されていないこと

では、なぜFMEAは続かないで、形骸化してしまうのでしょうか。

私たちは、その最大の原因は、「何のためにFMEAを行うのか」という目的が組織全体で共有されていないことにあると考えています。

例えば、「お客様から要求されたから。」「品質部門の仕事だから。」「FMEAシートを提出するため。」このような認識では、FMEAは単なる書類作成となり、やがて負担だけが残ってしまいます。

本来のFMEAの目的は違います。

FMEAとは、未来に起こり得る失敗を想像し、お客様にご迷惑をお掛けする前に対策を講じる活動です。

つまり、お客様の信頼を守り、会社の信用を守り、社員が安心して働ける環境をつくるための活動なのです。

FMEAの導入を取引条件としている大手企業では、発注先にこのような活動を求めているわけです。

ここで大切なのは、理念経営における「理念」とFMEAの「目的共有」は、本質的に共通しているということです。企業理念が、組織における判断や行動の基準となるように、FMEAも「お客様の信頼を守る」という目的が共有されて初めて、組織に根付いていきます。

目的が明確であれば、人は自ら考え、行動することができます。反対に、目的が共有されていなければ、どれほど優れた手法であっても、やがて形だけの活動になってしまいます。

FMEAを定着させる第一歩は、手順を覚えることではありません。「なぜFMEAを行うのか」という目的を、組織全員で共有することなのです。

「習慣」にならなければ、企業文化にはならない

毎日の歯磨きを思い浮かべてみてください。歯磨きの大切さを知っているだけでは、虫歯や歯周病は防げません。毎日続けるからこそ、健康な歯や歯茎を維持することができます。

FMEAも同じです。一度作成しただけで品質が向上することはありません。

  • 設計が変われば見直す。
  • 工程が変われば見直す。
  • 市場で新たな情報が得られれば反映する。

こうした地道な積み重ねによって、FMEAは初めて本来の価値を発揮します。このような継続的な活動が習慣となり、やがて企業文化へと育っていくのです。

定着には「FMEAコンサルタント」の存在が大きな力になる

FMEAという新しい取組を組織に定着させることは、決して容易ではありません。QCやQMSの導入でもそうだったと思います。

日々の業務に追われる中で、改善活動は後回しになりがちです。また、「この進め方で良いのだろうか」と迷う場面も少なくありません。

このような時、経験豊富な第三者が定期的に確認し、助言し、方向性を示すことで、活動は継続しやすくなります。

私たちが個別開催のセミナーに加え、導入・定着までを支援するハンズオン型のコンサルティングを重視している理由もここにあります。

私たちが目指しているのは、FMEAシートを完成させることではありません。お客様自身が、自らの力でFMEAを継続的に運用し、改善を積み重ねられる組織となることです。

「単にFMEAが導入できたら良いのではなく、FMEAを定着させ、高レベルな改善をカルチャーとしたい」という企業様は、ぜひ当社のFMEAコンサルティングをご利用ください。

FMEAは企業文化になって初めて価値を生む

失敗学のすすめ』(畑村洋太郎著)では、「失敗は隠すものではなく、学ぶものである」という考え方が一貫して示されています。

FMEAもまた、過去の失敗や将来起こり得る失敗から学び、同じ失敗を繰り返さないための仕組みです。

しかし、その仕組みは、一度作れば完成するものではありません。継続的に見直し、改善し、人が育ち、組織に根付いて初めて、本当の価値を発揮します。だからこそ、FMEAは品質管理の手法であると同時に、「人を育て、企業文化を育てる活動」でもあるのです。FMEAセミナーは、その第一歩に過ぎません。

私たちは、お客様がFMEAを企業文化として定着させ、自ら継続的に改善できる組織となることを目標に、これからも伴走してまいります。

FMEAを形骸化させないためのポイントまとめ

① FMEAは「作ること」ではなく、「使い続けること」に価値がある。

FMEAは「生きた文書」として継続的に見直し、改善することで初めて、その効果を発揮します。

② FMEAが定着するかどうかは、「目的の共有」で決まる。

書類作成が目的ではなく、「未来の失敗からお客様と会社を守る活動」であるという共通認識が、継続の原動力となります。

③ FMEAは企業文化になって初めて成果を生む。

導入はスタートに過ぎません。習慣化し、現場に根付き、組織全体で活用されることで、FMEAは企業の大きな力となります。

当社のFMEAセミナーご案内

当社のFMEAセミナーは、定番のFMEAセミナーを、基礎編、導入編、実践編と段階に応じて設定しておりますが、お客様のご事情に合わせて内容をカスタマイズしてご提供しています。また、セミナー後はハンズオンで定着・改善までご支援いたします。

「FMEAの導入で改善をしたい。高度な改善カルチャーを定着させたい」とお考えの企業様は、ぜひ当社までお声がけください。

この記事の著者

村上豊

製造業改善コンサルタント
村上 豊 (Murakami Yutaka)

名古屋大学工学部、修士課程卒業後、トヨタ系列の電装を担う大手メーカーに30年間従事。製造部門のみならず、国内工場の工場長や英国の新工場立ち上げをも担当する。コンサルタントとして独立後、さまざまな製造業種の企業を支援し、5S活動の理論に基づいて工場の人材育成、生産、保全、品質、製造技術の改革に取り組む。人の能力を引き出し高めるマネジメントで、多くの製造工場の改善・改革、カルチャーづくり、理念経営を支援。

プロフィール詳細


「社長の夢実現への道」一覧

ページトップ