社長の夢実現への道

社長はお客様への貢献を喜びとすると人材が集まり会社を成長させる

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社長はお客様への貢献を喜びとすると人材が集まり会社を成長させる

会社はお客様への貢献を喜びとすることで、多くのお客様から利用していただける会社になります。

利用していただけるお客様が増えてくれば、売上高が増大して、会社が成長していきます。

その本質となる発想として、「社長がお客様への貢献を喜びとすること」が大切になります。

多くのお客様に貢献するためには、社長ただ一人ではなく、多くの社員と協力しなければいけません。そのためにも、人材が不可欠です。その人材とは、「顧客マインドを持った人材」ということになります。

世の中は、「類は友を呼ぶ」と言われますが、社長の顧客マインドに呼応して、顧客マインドを持った社員が集まるようになります。また、社長の顧客マインドを経営理念の一部として、社員を育成していくこともできます。

この記事では、自社に多くの利益をもたらした優秀な社員が、社長との考えの不一致で退社していったエピソードをご紹介するので、そこから自社を発展させていきたいとお考えの社長が持つべき発想を検討したいと思います。

社長がお客様をどのような存在と思っているのか?

私がコンサルタント会社を経営しているわけですから、お客様のことを「社会変革のパートナー」と定義しています。お客様をご支援させていただいて、お客様の事業活動を通じて世の中を便利に豊かにしていきたいと考えています。

「お客様は神様だ」と言われることもあります。お客様は大事な人ではあるものの、ときどき暴君となるお客様もいらっしゃるわけですから、最近の企業の流れとしては、「お客様を選ぶ」ということが主流になりつつあります。

もちろん、そのように考えることができる会社は、優良企業だと言えます。自社の強みを知り、お客様を大切に思い、その強みがお客様に貢献し、高い評価を得られていることも知っており、人気の高い会社でのことです。

会社がそのような優良企業になるまでは、なかなか長い道のりがあります。その道のりの過程で、社長のマインド変革が必要となります。会社の規模は社長の器で決まると言われていますが、この社長のマインド変革も器の一つです。

さて、マインド変革前の社長の中に、お客様の存在を「魚」と表現していた社長が一人いました。その社長のエピソードをご紹介したいと思います。

とある会社の社長のお客様に対する考え

とある10人弱ほどの倒産寸前のIT企業で、新規事業の立ち上げに成功し、会社成長していったエピソードをご紹介いたします。

その企業に、30代後半の優秀な社員が入社して1年後に新規事業を2つも立ち上げて、自分自身で集客をして成功に導き、倒産寸前の会社に光明をもたらしましたが、その半年後に社長のお客様を「魚」呼ばわりすることに腹を立てて辞めていってしまったエピソードです。

優秀な社員がもたらした収益性の高い新規事業

その会社は資金繰りにたいへん困っていたので、その社員が新規事業を立ち上げるに当たり、50代の社長からは、「資金繰りが苦しいので、新規事業の立ち上げに予算が組めない。しかも新規事業の販売価格は安いから反対だ」ということでした。

しかしその社員は、「この新規事業はお客様に貢献できる。価格は安いがサブスクになり、会社の収益性が高まるはずだ。私を雇ってくれた社長に対して恩返しにもなる。」と考えました。そこで、社長には「通常業務は平常通り行う。通常業務を終えてから新規事業の開発をしたい。さらには、新規事業の立ち上げに費やした時間の残業代は請求しないし、外注費も発生しないようにする。オフィスだけ貸して欲しい」というものでしたから、社長は「それなら」とOKを出しました。

その社員は、昼間は通常業務を生産的にこなし、徹夜も辞さずにサービス残業をして、新規事業の開発に取り組みました。開発期間中は、他の社員からの目もあり、肩身の狭い思いも経験しましたが、「必ずお客様や会社のためになる」との信念で続けました。他の社員よりも倍ほど働き、3~4ヶ月ほどで1つ目の新規事業をリリースできるまでに仕上げました。

新規事業の立ち上げでかかった費用は一切会社側に請求しないで、社員のポケットマネーを使いました。知り合いのプログラマーを説得し、協力もしてもらいました。新規事業の集客はホームページで行うことになりましたが、サーバー代とドメイン代は自分が出すわけにはいかず、年間1万円ほどだけ許可してもらい、新規事業をPRするホームページは社員が自分で制作し、SEO対策まで自分で行いました。

社員が制作したホームページですから、デザイン性は乏しかったものの、新規事業は画期的なもので、新規性・有用性・独創性が重なり、ホームページ公開から2~3ヶ月後には、毎日のようにお問い合わせが入るようになりました。その会社では、今までに類を見ないほどのお問い合わせ件数に社長の顔もほころびました。

その社員はいくつか新規事業のアイデアを持っていたため、1つ目の新規事業が軌道に乗ると、次の新規事業の開発に取り組み始めました。

お問い合わせが入り出したときの社長の反応

受注件数も日に日に増えていって、その社員の給料分以上の利益をサブスクリプション事業で得られるようになりました。

その頃にたまたま受注の電話を受取った社長は、笑顔でその社員に、「社員君、また魚が釣れたよ」と言ってしまったのです。

新規事業を立ち上げた社員は、「お客様に貢献したい」という強い思いで立ち上げた事業でしたから、社長のお客様のことを「魚」と呼ぶ発想に違和感を覚え、「社長、お客様は魚ではありませんから、『お客様』と呼ぶようにしましょうね」となだめつつ、さらなるサービス改善に勤めました。

しかし、来る日も来る日も、「また魚が釣れた」と連呼するものなので、その社員はついにキレてしまい、「お客様は魚ではない!」と激怒して、辞表を出してしまったのです。

昼間の仕事をこなしつつ、さらには新規事業が順調に伸びて昼間の業務が倍に増えていったので、他の社員と比べて2~3倍の売上高を得るようにまで成長していました。そのため、仕事量も相対的に増えて、精神的にも限界だったのでしょう。

社員が退職した後

その社員が退職した後は、新規事業はどうなったのでしょうか?

もちろん順調に発展して、売上高の大半を占めるようにまで成長しました。

新規事業の流れは、辞めていった社員と別の社員が力を合わせてルールや仕組みで働けるように構築していたので、そのルールや仕組み通りに活動をしたら成果が出せるようになっていました。

また、社長はサブスク事業の重要性に気が付き、持ち前の営業力で受注を増やしていきました。

新規事業を立ち上げた社員は、その会社に2年もいなかったのですが、その間に新規事業を2つも立ち上げて、社員2人で会社の売上高の50%ほどを担うほどにまでなりました。

社員が退社してから3年後、その2つの新規事業が会社の売上高のほぼ100%となり、社員数も50人以上に増えたそうです。そして、新しい社員たちには、「この新規事業を立ち上げて成功に導いたのは、社長である私なのだ」と豪語し、成功哲学を語り、社員からは尊敬されているそうです。

その成功哲学を学んだ社員は、新規事業の成功はあり得ませんから、「万事塞翁が馬」ということでしょう。何が良くて、何が悪いのかは、わからないものです。

この手のエピソードは、「誰が新規事業を成功に導いたのか?」という個人のことではなく、会社として取り組んだために、「社長を含めた社員が一丸となって成功に導いた」ということが本当のところなのですが、結局は社長の手柄になりやすいです。しかし、社長一人で「私がやったのだ」と言うのであれば、少し傲慢なところがあります。

社長が得たものと失ったものとは?

社長は、もったいない社員を辞めさせてしまいました。その社長は、重鎮のスタッフや奥様にまで怒られたそうです。

さて、零細企業を経営している社長であれば、このような社員を欲しいと思ったことはございませんか?

そのような優秀な社員が入社しても、会社を去っていく理由は、エピソードから読み取ることができたと思います。

エピソードの中では、社員は「お客様に貢献したい」という強い気持ちから新規事業を立ち上げました。社長は、営業畑出身の社長だったので、お客様のことを「自社に利益をもたらす魚のようなもの」と考えてしまったのです。辞めていった優秀な社員に対しても「いい拾い物をした」としか思っていなかったようです。

優秀な社員は、お客様への貢献や社会貢献を大義として、難易度の高い仕事に取り組むものです。そして、「徳のある社長にうまく使われたい」と考えるものなのです。ところが、たまたま就職した先の社長に徳が無かっただけのことでした。

辞めていった社員は、残業代やボーナスは一切もらっていませんでしたが、「せっかく新規事業を立ち上げたのに、インセンティブが得られなかった」とは考えませんでした。それよりも、「新規事業を立ち上げて会社を発展軌道に乗せるという、良い経験をさせてもらった」と社長に感謝をしているのです。そして、その経験を活かして起業しました。

社長はこの社員を通じて、何を得て何を失ったのでしょうか?

得たものは、会社を成長させるだけの新規事業と、社員に対する考え方の変化でした。失ったものは、「会社のさらなる発展のための機会」と思います。

社長は成長の過程にあったため、その社員はある意味で使い潰されてしまったところはあります。しかし、社員の自由意思で新規事業をさせたところは評価ができます。社長はこの成功体験を踏まえて、社員に新規事業の立ち上げをチャレンジさせる企業へと成長させたものと考えます。

優秀な社員を辞めさせてしまう社長の発想

自社に稀有なる優秀な社員を招き入れて、会社の発展に大いに貢献してもらうために、何が必要でしょうか?

それを考える前に、優秀な社員を辞めさせてしまう社長の発想を考えたいと思います。社長である貴殿が、社員を経験したことがあればそのころを思い出してください。

  • 志が低い/高い志でも自己中心的な内容である
  • 自己イメージが高い
  • 自社の売上や利益の数字しか考えていない
  • 社員を使い捨てカイロのような道具だと考える/社員を育てる気が無い
  • 会社の良し悪しは社長の質ではなく「社員の質で決まる」と考えている

これらを一言で述べるならば、「自分のことしか考えていない」ということになります。

自己イメージが高い社長のデメリット

自己イメージの高い社長は、どうしても傲慢になりがちです。傲慢さが出てくると、社員を見下すようになります。小さな会社では、社長がもっとも能力が高いと思いますが、会社が成長するためには、社長お一人の能力だけでは足りなくなります。

傲慢な社長は優秀な社員と戦ってしまい、「自分の方が上だ」と見せつけたくなる傾向があるのです。もちろん、優秀な社員であったとしても、人事権を持っている社長に勝てるわけがないので、社員は辞めていくことになります。

優秀な社員の辞め方が酷い場合には、社長を訴えたり、競合他社になって市場を奪いにくる場合もあります。優秀な社員が辞めていった後では、後の祭りです。

自己イメージの高さは、傲慢さにつながることを解説いたしましたが、自己イメージの高さは自己保身と結びついている場合があります。

自己イメージが高いことは、前向きな姿勢になるという意味では大事な素養です。卑屈な社長と比べたら、自己イメージが高い方が良いと思います。しかし、自己イメージの高さが傲慢さにつながるのであれば、それが弊害になります。

数字しか見ない社長のデメリット

小さな会社の社長は、どうしても自分の利益を中心に考え勝ちになります。税務署の人にご指導をいただいて、少しずつ公私を分けていくようにはなりますが、場合によっては、会社の通帳と自分の家庭の通帳が混同しているところもあります。

そして借金で苦労をした会社であれば、自己保身を発想の50%ほど考えている社長もいます。「会社のことやお客様のことを考えている」と言う社長も、会社のことやお客様のことを考える理由は、自己保身のためであったりするわけです。

そういった社長の発想は、社員からするとすぐに見破ってしまいます。「社長は社員を見抜くのに3年かかる。社員は社長の気持ちを3日ほどで見抜く」というような言葉を聞いたことがありますが、社長は人の心を見抜く力が強いと言われているけれども、社員のことになると気が付かないものなのです。

「この社員は、会社に貢献し続けてくれる」と思って期待している人ほど、辞めていくものかもしれません。

そういったことから、社長は自分が陣頭を取って新規事業を立ち上げていくべきでした。新規事業は会社の未来のことなのですから、それくらいしても良かったはずです。新規事業開発中に終電近くまで会社に残って立ち上げをしている社員に、サンドイッチとコーヒーでも差し入れてあげて、「何か手伝えることは無いか?」と声掛けぐらいはできたことでしょう。

優秀な社員が集まる社長の発想

最後に、優秀な社員が集まる社長の発想をご説明いたします。先ほどの優秀な社員が辞めていく発想の逆になります。

  • 公器なる高い志を持っている
  • お客様への貢献を第一に考える
  • 志の実現に貢献してくれる社員に日頃から感謝している
  • 貢献した社員にはインセンティブを十分に出すことを検討している
  • 社員を育てようとしている
  • 未来に向けて社長自らも成長を続けている

感謝の心から社長の徳が発生する

これらを一言で述べるならば、「感謝の心」です。感謝の心があれば、「事業活動を通じてお客様に貢献したい」「人のため、世のための会社にしたい」という志が生まれます。志を強く持てば、貢献できていない自分と理想の自分を自ら比較できるようになり、頭を低くせざるを得ない状態になります。そのようにして、傲慢さが薄れ、謙虚さが出てくるのです。その謙虚さから、社長の徳がにじみ出てくると思います。

優秀な社員は、徳の高い社長に使われるものです。徳の高い社長の元に、優秀な社員が集まるのです。

社長が、お客様に感謝をしていたとしても、本音では「お魚」と考えている間、お客様をお金でしか見ていない間は、その感謝は表面的なものになりますから、徳は発生しません。

社員の成長を促す社長も徳がある

一代で大企業を創った名社長の書籍を読んでいると、法則のように「会社の成長とともに社員が入れ替わる」と述べています。社員の入れ替わりは当たり前のように起こることです。それを学んで勘違いした社長は、社員を使い捨てするようでは、会社は大きくなりません。

成長している会社では、社員の成長を促すのですが、会社の成長について行けない人が辞めていくのです。社員の成長は社長の責任ですから、出来る限り社員が成長して、会社の成長についていけるようにしてあげることが大事です。

そのためにも、社長ご自身の成長が必要になります。なぜなら、社員教育の中心人物は社長だからです。会社が成長しても残っていき、将来に幹部となっていく優秀な社員は、すべからく「社長から教えていただいたから成長できた」と言います。

会社が社長の器以上に大きく成長すると、社長の老害が出てしまうことがあります。その場合は、会社を危うくします。

会社の成長に合わせて社長ご自身も成長していってください。いつまでも営業社長や技術社長はしていられない時期が来るのです。

ナンバー2や奥様から老害をほのめかされるようになったら、次の10年に備えて勉強してください。どのような内容の勉強をしたら良いのか知りたい方は、お気軽にご相談ください。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

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