社長の夢実現への道

店長の指示が悪くて顧客を逃す店員

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店長の指示が悪くて顧客を逃す店員

ここでご紹介するエピソードは、経営理念コンサルタント関山が体験したことです。とても考えさせられ、勉強になったエピソードですので、コラムとしてご紹介したいと思います。

このエピソードの内容や感じたことは、関山が担当した小さな会社の社長のためのセミナーにて語り、セミナーに参加されていた社長様たちは、「わが社の社員は大丈夫だろうか?」と心配になった方もいたようです。

ご紹介するエピソードの内容は、店員の対応の腹いせで書くものではありません。世の中の社長様の方々の勉強になると思ったため、あえてご紹介いたします。

普段、大手コーヒーショップを利用して感じること

コーヒーショップではパソコンを開いて仕事をしている人が多い

都内の大手コーヒーショップでは、昼間はパソコンを持ち込んで、仕事を延々と行っている人が多いです。私もときどきコーヒーショップでパソコンを開いて仕事をすることがあります。

仕事の帰りに、報告書をまとめてお客様にメールしたり、購入した書籍を読んで帰ったりと、利用はさまざまです。以前であれば、2時間ほど利用して、仕事をこなして帰ることが多かったのですが、さすがにコーヒーやカフェラテを1杯では申し訳ないので、サンドイッチを購入したり、もう一杯飲んだりと、コーヒーショップの売上に貢献するようにしています。

大手コーヒーショップを利用するときに、いつも思うことがあります。それは、「利益が出ているのだろうか?」という疑問です。

ある日のこと、私が座った座席の隣では、すでにアイスラテの残量がなくなり、カップの中の氷が溶けて水になっている人がいました。私よりも1時間以上も前に来ていたのでしょう。ところが、2時間ほどして、私が帰るときにも、そのまま居座っていました。

1日の顧客数と客単価を考えたら、「この店はやっていけるのだろうか?」と、新型コロナの影響がある前から思っていました。皆さまも、そのように思ったことがあるのではないでしょうか?

大手コーヒーショップがコロナ禍をチャンスと捉えた?

ソーシャルディスタンス

現在、新型コロナウイルスの影響もあり、ソーシャルディスタンスということで、多くの飲食店では座席数を減らして営業しています。大手コーヒーショップでも、行政からの要請に従って、営業時間を変更したり、座席数を減らしたりしています。

店内では、間引いたテーブルや椅子を店の端に積み上げたり、座席のテーブルに紙で「×印」をつけたりしているところもあります。

そして、コーヒーショップの利用者に、利用時間を制限しているところもあります。

考えてみたら、利用時間の制限は、とても興味深い発想です。今までの大手コーヒーショップでは、あたかも時間制限が存在しないようなスタンスで営業されていました。今では入店時間が記入されたカードを配ってまで1時間での利用を徹底しているコーヒーショップもあります。

ソーシャルディスタンスで、座席数を半部に減らしたものの、回転率を2倍以上に高めることができたら、利益は減らないという計算になります。

ここで、回転率とは、1日の顧客数を座席数で割ったものです。座席数が半減したら、収入が半減してしまいますが、回転率が2倍になったら、顧客数が2倍に増えたことになり、今までと売上高が変わらないという計算になります。

実際のところ、回転率が2倍になっているようには見えません。利用時間制限があると、コーヒーショップを利用しようとする人が少なくなることが予想されます。行政からの要請と称して、一生懸命売上を下げているように思います。

ここでご紹介するエピソードは、店員が一生懸命売上ダウンに貢献しているお話しです。

店長の指示が悪くて顧客を逃す店員

経営理念コンサルタントの関山が体験したエピソードは、このようなものでした。

都内のとある大手コーヒーショップに入店しました。すると、レジを対応していた店員から、「当店は30分制です。」と言われました。

関山は、「じゃあいいや」と帰ろうとしました。

すると、奥から他の女性スタッフがすっ飛んできて、「申し訳ございません。30分は目安ですので!」と呼び止められました。「それなら」ということで、店内に戻ってコーヒーを購入したそうです。

レジで対応した店員は、おそらく店長からの指示で「お客様には、30分間制だということを伝えるように」と聞かされ、関山にもそのまま伝えたのでしょう。

世相も反映していると思いますが、関山は「ルールを守らない人は悪」と言われたような気がしたのだと思います。

おいしいコーヒーを飲みながら仕事をしていたら、ついつい仕事に没頭してしまって、うっかり30分を超えてしまうこともあるでしょう。コーヒーショップに来て1人で仕事をしている人は、「他人に邪魔されたくない」という気持ちもあると思います。そして、現在は、「集中しているときに時間制限に邪魔されたくない」という気持ちを持っていると思います。

結局のところ、関山は30分ほどで帰ったようですが。

この店員は無能なのか?

さて、この店員はお客様を1人ですが、逃すところでした。店長からしたら、この店員は無能なのでしょうか?

私は、そのように思えません。店員は、店長から言われた通りに、一生懸命やっていただけなのです。

コーヒーを飲んでいるお客様は、マスクを付けません。お客様は、密閉空間に長時間滞在することになります。新型コロナウイルス感染の危険度が高まります。ですので、なるべく多数の人と同じ空間にいないようにしたいと考えていたかもしれません。(1人当たりの平均で考えると、そのようなことはありませんが)

ともあれ、店員としては、お客様に30分のご利用時間を守っていただく必要があります。

一生懸命仕事をしている店員ほど、大切にすべきだと思います。

店の何が問題かったのか?

ここで、顧客を帰してしまいそうになったコーヒーショップですが、何が問題だったのでしょうか?

皆様は、すでに何らかの答えをお考えになったことでしょう。

一倉教の信者であれば、「社長が悪い」ということになります。私も、一倉教の信者ですので、そのように考えます。「このバカ社長!」とチョークが飛んできそうです。

一倉教とは

一倉教という宗教は存在しません。伝説の経営コンサルタント、一倉定先生(いちくら さだむ、1918~1999)を信奉していた社長を、一倉定先生がご存命中にご自身で「一倉教の信者」と呼んでいたことに由来します。私もそれに倣って、一倉教という言葉を使っています。

店長の指示も悪かったのだろうと思います。関山を対応した店員は新人だった可能性もあります。新人だったので、仕事のやり方ばかり教えていて、お店の存在意義を、しっかりと教えていなかった可能性があります。

お店の存在意義が、店員にしっかり伝わっていない状態で、30分の時間制をルールとしてしまったら、その店はサービスの提供ができません。ここで述べるサービスとは、「お客様の満足を得ること」です。

お客様の満足を得ること以外に、サービスは存在しないと言っても過言ではありません。お客様の満足が得られないと、お客様は離れていきます。お客様が離れて行ってしまったお店はどうなるでしょうか?

つぶれてしまいます。

そのあたり、すっ飛んできた女性スタッフは、しっかりと仕事ができていると思います。もしかしたら、この女性スタッフが店長だったのかもしれません。

私でしたら、「店が混んでくるようであれば、時間制限をご配慮ください」とお客様に伝えるように、指示を出します。店の中がガラガラであれば、いままで通り、長くいてもらっても良いはずです。その間に、別の商品を購入してくれる可能性もあります。

誰に、どのような研修をしたらいいのか?

一倉教の信者であれば、すべては社長の責任ですから、社長自らが勉強すべきだと考えることでしょう。社長が経営の勉強をしているにもかかわらず、従業員の出来が悪いとお感じであれば、社長の勉強内容が間違っている恐れがあります。事業規模に適した事業経営の原理・原則を勉強すべきです。

当社が行っている小さな会社の社長のためのセミナーも、事業経営の原理・原則を勉強するためのセミナーです。大手企業の社長様にもご参加いただけます。

社長以外の従業員すべてが受講すべき従業員研修は、経営理念研修です。この場合、正しい経営理念が構築できていることが前提となります。

正しい経営理念には、会社の考え方や目標達成の方法などが盛り込まれています。自社の経営理念をしっかりと伝えることで、従業員自らが、自分の立場の中で最大限サービスができるように考えて仕事ができるようになります。また、経営理念を実現しようと行動する従業員は、会社にとって理想的な従業員に育ちます。

まだ、正しい経営理念を練りこめていない社長であれば、事業経営の原理・原則を教えてもらえるセミナーに参加しつつ、経営理念の練り込みから始められると良いと思います。

大手コーヒーショップでのエピソードから、私が考えたことをまとめました。皆さまの事業経営に活かされたら幸いです。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら数千を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくりる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

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