経営理念コンサルティング

行動指針とは?

行動指針とは何ですか?

行動指針とは、社長をはじめ会社に属する全従業員が取るべき行動のことです。社訓とも言われます。行動指針に従って行動すれば、正しい考え方ができ、仕事で成果をあげることができ、しいては、出世をして人生を豊かにできます。

つまり、行動指針は経営理念の構成要素の一つで、企業ビジョン実現のための方法が書かれたものだと言えます。

行動指針については、コラム「行動指針とは?企業における行動指針の意味と内容」もご参照ください。

行動指針とは、仕事に対する価値観や考え方が示された、全従業員が従うべき規則です。社訓とも言われます。

その価値観や考え方は基本理念経営方針に基づいて作られたもので、社長や経営幹部を含む全従業員が行動指針に則って仕事をすることにより、基本理念の達成に向けて仕事の質を高めることができます。

行動指針を作成し浸透できれば、それを守って仕事をしていくことで、従業員は成果が出せ評価されるようにします。すると、行動指針が深く浸透し、カルチャーを創り出すことができます。

行動指針の内容

基本理念を達成するための仕事に対する価値観や考え方は、それこそ多岐に渡ります。そのため、行動指針は条文で書かれていることが多いです。

行動指針に則って仕事をしていくと、長い年月をかけて基本理念が達成できるわけですので、行動指針の条件として、次のようなものが含まれているべきです。

  • 働くことの意義
  • 仕事の意欲を高める方法
  • 仕事能力を高める方法
  • お金や利益に対する考え方
  • 安全や健康など、その他の会社特有のカルチャーとしたいもの

しっかりとした行動指針ができれば、それを従業員教育や人事評価制度にすることもでき、働く人たちのより高い成果を出すことができるようになり、仕事に対する熱意も高まっていきます。

行動指針を浸透させることを考えると、誰でも理解し覚えやすい言葉で作られることが望ましいですが、難しい言葉を使ってもかまいません。難しい言葉を使う場合は、しっかり解説の文章を入れる必要があります。

行動指針の例

行動指針の内容として、例えば「礼を正す」や「コミュニケーション」を入れている会社もあります。人との接し方を行動指針にしたものです。お客様に対する接し方、社内の人間であっても礼は大切ですし、コミュニケーションをしっかりすることで仕事の質が高まります。

「環境整備」や「凡事徹底」というものもあります。こういった姿勢がないと、業務にムリ・ムダ・ムラが目立つ会社になります。環境整備は製造業の会社であれば当たり前のことですが、新入社員やアルバイトのスタッフでも質の高い仕事をしてもらえるように、この当たり前を盛り込む必要があります。

「時間は有限」というものもあり得ます。従業員の時間が価値を生み出すため、時間はお金以上に貴重な資源です。行動指針に時間の正しい使い方を盛り込み、教育していくことも大切です。

仕事では、採算感覚も大切なので、「採算感覚を持て」という条項も考えらえます。企業経営では、利益は目的ではありませんが、会社の発展のためのコストですので、会社を成長させるために必要なものです。そのため、利益とは何かという考え方、利益に対する正しい考え方も大切です。

経営判断や営業の仕事では、仕事のスピードが遅いと商機を逃してしまうことがあります。お客様へのご連絡の素早さや、商品・サービスの提供スピードなど、仕事が早いということは大切です。仕事が遅いと、仲間やお客様にご迷惑をかけてしまいますので、優良企業とはいえません。

また、スピードを重視しすぎると品質が悪くなる恐れがあります。そこで、行動指針の条項に、「品質とスピードを両立させる」というものを入れることはいかがでしょうか。仕事では矛盾することがいっぱいあります。お客様の最大の満足を追求しながら利益を出す必要がありますし、スピードを早めつつ正確さが求められます。その矛盾の追求の中に、仕事の本質があります。

このように、行動指針の内容は多々出てきます。それを、行動指針や社訓としてまとめあげて、仕事で成果を出すためのものに仕上げていく必要があります。

行動指針を作る理由

行動指針を作る理由は、単に従業員を働かせるためだけに作成するのではありません。会社の構成メンバー全員が、基本理念達成に向けて、正しい価値観や考え方を持って仕事をするためにあります。

基本理念を達成するためには、組織が必要となります。そのため、会社の構成メンバー全員が、経営理念に込められた会社の価値観、会社にとっての正しい考え方に共感してもらう必要があります。

従業員は、会社のために時間を提供して仕事をしたらお給料がもらえます。ある従業員は、心の中で「人の役に立つ」という心構えで仕事をしていることでしょう。また別の従業員は「毎日の昼食だけが楽しみだ」と思って仕事をしている場合もあることでしょう。従業員の仕事に対する考えはさまざまです。

従業員の誰もが、自分や家族が幸福になるために仕事をしているのですが、自己中心的な発想で幸福を追求しても幸福になれず、人を幸福にすることによって自分も幸福になれるという原理原則があります。

仕事に関する原理原則はたくさんあります。従業員の誰もが原理原則に従って仕事ができれば、大きな成果を出すことがでるようになるのです。

日本海海戦での例

日露戦争における日本海海戦で勝利をもたらしたのは、秋山真之の戦略や東郷平八郎の決断力、参謀の作戦力、新技術の導入などがありますが、戦闘をしたのは現場の兵士です。

兵士たちは、新しく考え出された操舵や砲撃の方法、戦闘のルールを何度も練習しました。このような錬成の教材となるものが行動指針と言えるものです。兵士たちは、その訓練によって操舵や砲撃の腕、勇気を錬成し、それらがバルチック艦隊よりも上回りました。

東郷平八郎は、兵端が開いた後でも砲弾や水しぶきが飛び交う甲板の上で指揮を執り続けたと言われています。トップ自ら矢面に立つその勇気を兵士たちに見せることで、兵士たちも命を懸けて戦うことができたのです。

社長自身がつかんだ理原則に基づいて、自ら行動指針を作成し、その行動指針に基づいて自ら行動で示しながら浸透させることで、基本理念を達成するための熱意のある組織ができます。

言い換えれば、行動指針を作る理由は、基本理念を達成するためです。

行動指針は誰が作るのか?

大きな企業では、部門のリーダーによるプロジェクトチームを組んでも良いですが、基本的に社長が作るものです。

社長は、仕事の正しい考え方ややり方を持っているからこそ事業を興すことができ、お客様の役に立ち、仕事が増え、従業員を雇って組織化できます。

仕事の正しい考え方ややり方とは、私欲を抑え、お客様や取引先、従業員などの利害関係者の役に立ち、自分一人だけで仕事をする以上の価値を提供できることです。

もし、従業員だけで作成してしまったら、従業員にとって都合の良い、抜け道のある行動指針が出来上がってしまう可能性も考えられますし、従業員が作成した行動指針を社長が従うことはできないはずです。

そのため、行動指針は社長が作成すべきなのです。

行動指針作成の流れ

行動指針を作成する前に、経営理念の構成要素である基本理念を、そして経営陣が経営判断をするときのより所とする経営方針を作成します。

その後に、基本理念が達成でき、経営方針に矛盾しないように、行動指針を作成していきます。

行動指針の作成は、基本的に社長が作成することは上で述べた通りです。その場合、従業員やコンサルタントがヒアリングしてまとめていってもかまいません。

社長が必要だと感じるものを条項として列挙していき、融合できるものは融合し、なるべく数を減らします。判りにくいものは分割して、浸透させやすいものにしていきます。「この条項にすべて則って仕事をしれば、いずれは基本理念を達成できる」と確信できたら完成です。

行動指針ができたら、企業ビジョン(全社目標)を明確にし、経営理念の完成です。

次に経営理念の浸透、もしくは経営計画の作成に入ります。

経営理念の浸透では、ツールとして経営理念解説書やワークシート、企業ビジョンマップなどを作成します。

この流れは、あくまでも基本的な流れですので、社長のご意向などによって、作成する手順が異なります。

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