社長の夢実現への道

中小企業がイノベーションを成功させる考え方と方法

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イノベーションを成功させる方法とは?

社長は、「利益を出したい」とか「シェアを増やしたい」といった、会社の未来のことをいつもお考えのことでしょう。

社長が何を実現したいのか、その意思決定によって、会社の浮沈があります。重要な意思決定は、会社のイノベーションに関わることのはずです。

普段、中小企業のイノベーションをご支援させていただいている中で、「中小企業がイノベーションを成功させる考え方と方法」と題して、イノベーションの基本について述べたいと思います。

中小企業におけるイノベーションとは?

会社でのイノベーションとは、どういったものをイメージするでしょうか?

次のようなものをイメージすることが多いと思います。

  • 新商品開発
  • 新規事業への参入
  • 生産方法の刷新

イノベーションの権威のあるピーター・ドラッカー先生は、イノベーションのことを「顧客の創造」と言っておられました。顧客の創造ですので、「新商品開発によってイノベーションしたい」と考えることは、合っていると思います。

テレビや雑誌などで、「中小企業が新事業に参入してV字回復した」といったニュースや記事を見ることがあります。中小企業の成功事例が書かれた本を見ても、「当社も真似したいな」と思うことがあります。

しかし、そういった上辺と言うべき、派手に見える部分のみを真似したところで、うまくいくはずがありません。それが世の常です。社長の熱意や日々の小さなイノベーションの積み重ねなどによって、大きなイノベーションができるものとお考えください。

広い意味でのイノベーションは、次のようなものも含まれます。

  • 販売方法の刷新
  • ルーチンワークの刷新
  • 会社組織の変革
  • 理念経営の導入

イノベーションとは、真新しいものに変えてしまうことです。私は学者ではありませんし、ドラッカー先生は「体系的廃棄」と定義されていますが、簡単に述べると「革新」です。

中小企業のイノベーションの目的は、販売を強化したり、生産性を高めたり、新商品を開発したりといろいろありますが、次の3つに集約されると思います。

  1. 会社の成長
  2. 会社の生き残り
  3. ビジョンの実現

イノベーションを考える社長のよくある思考パターン

社長が何か「イノベーションを成功させたい」と考えているときは、とても調子の良い状態です。そういった状態のときは、未来が見えるかのように、いろいろとやりたいことが浮かんできます。

「会社のここを改善したい」「設備を変えたい」「新商品を開発したい」「新しい事業にチャレンジしたい」「社員の仕事の仕方が気になる」「事務所が汚いので掃除の習慣を取り入れるべきだ」などなど、あれもこれもやりたいと考えてしまいます。

社長はいつも会社のことを考えているので、それらすべてが実施できたら、まさしく会社は成長するはずです。やりたいことが発見されたら、すぐに手帳に書くようにしてください。そのアイデアを熟成させて、優先順位をつけて実施していかなければなりません。

しかし、大きなイノベーションほど、社長がプロジェクトリーダーとなって、1つイノベーションのみに集中して取り組まなければ実現しにくいことが実情です。

「あれもこれも」と始めたイノベーションや、思いつきで始めたイノベーションは、いつの間にかフェードアウトしていくものです。出来上がったものが中途半端なものになってしまうこともあります。どちらも、イノベーションは成功しません。

会社のイノベーションを成功させたい場合は、その内容が大きなものであるほど、まず社長自ら経営計画を作成し、経営計画に基づいてイノベーション計画を立てるべきです。その経営計画は、もちろん経営理念やビジョンといった大義名分から導きだされたものが理想的です。

会社のイノベーションを成功させる方法

会社の事情に応じて、イノベーションを成功させる方法を、イノベーションを担当する人材別にご紹介いたします。どの立場の人でも、イノベーションを担当する人材は、イノベーションを最重要事項として実施する必要があります。

社長が陣頭指揮を取るべきイノベーション

何かイノベーションさせるために、数多くの経営判断を必要とする場合は、社長が陣頭指揮を取る必要があります。例えば、会社の明暗を分ける商品開発や、販売方法のイノベーションです。

その場合、社長は何においてもイノベーションに集中しなければなりません。

イノベーションをしようとした瞬間から、会社の内外でトラブルが発生し始めることが世の常です。イノベーションとトラブル対応は、どちらも重要度が高いように見えますが、社運をかけたイノベーションの方が実は重要度が高いのです。それを肝に銘じて、決断を行っていくことが大事です。

特別なトラブルは別として、トラブル対応はできれば社員に任せて、社長はイノベーションに集中した方が良いです。

経営幹部にイノベーションを任せる場合

社長に代わって経営判断ができる経営幹部がいる場合は、その人にプロジェクトリーダーになってもらうと良いでしょう。その経営幹部は優秀でしょうし、イノベーションの内容は社運を掛けたと言えるものではないと思います。

優秀な経営幹部は、仕事が集中していると思います。社長は、その仕事を部下に振り分けて、経営幹部がイノベーションに集中できるように手配してあげてください。場合によっては、社長がバックアップしつつ、経営幹部にアシスタントを付けてあげてください。

プロジェクトが進み始めたら、社長は経営幹部から進捗状況や結果などを報告してもらうと良いでしょう。報告の仕方は、「うまくいっています」という単純な報告ではなく、書面で出してもらうようにし、報告内容で足りない部分を指示したら良いと思います。

その報告に対して、社長の考えと一致しているかをフィードバックしてあげると、経営幹部の育成につながります。

日々の小さなイノベーション

業務の改善といった日々の小さなイノベーションは、アイデアを思い付いた人に担当してもらったらよいでしょう。提案制度の導入といったイノベーションも良いと思います。

日々の小さなイノベーションの実施は、社員に勝手に任せていると、自分都合でイノベーションさせていき、他の社員やお客様を無視したやり方に変革していく場合があります。社員には、経営方針や行動指針などといった、経営理念や経営計画を判断基準として考えて行うように指示すると良いでしょう。

社員が行う、日々の小さなイノベーションは、日々の通常業務をおろそかにならないように注意を促してください。

日々の小さなイノベーションであっても、大きなイノベーションにつながる場合があります。そういったイノベーションは、社長や上司が引き継いでいくこともあります。

社長や上司は、社員が行う日々のイノベーションのアイデアを集め、社長や上司の命令でイノベーションを実施させたらよいと思います。その場合は、社員に報告させるように促してください。

イノベーションのアイデアを集める

イノベーションの成功を考える前に、まずアイデアを集めることから始めます。

社長ご自身でアイデアを出していくことは、もちろん大事なことです。そして、社員からもアイデアを集めるようにしてください。そして、中小企業の場合、社員から提案された内容は、中小企業の場合はすべて社長に上がってくるようにすべきです。

社員に「提案制度を作りたい。会社にとって良いと思うことは、何でも提案してもらいたい。」と宣言したら良いと思います。

ここで、「社長はアイデアを出さないけれども、社員から上がってくるアイデアを、口を開けて待っているだけ」は、お止めください。その理由は、お判りのことでしょう。

提案を出した社員への対応

社員からアイデアを集めるようにしてから、初めのうちは、社員は恐る恐るアイデアを出してくる人がいますし、「待ってました」とばかりに、自信満々にろくでもないアイデアを出してくる人もいます。アイデアの内容はチープなものばかりで、採用されることはないと思います。

しかし、社長はチープなアイデアであっても否定してはいけません。社員には「よくアイデアを出してくれた。」と労ってください。アイデアは、質よりも量が大事なので、社員を乗り気にしてあげてください。

もちろん、会社にとってイノベーションにつながるようなビッグなアイデアを出してくれたら良いと思います。しかし、「採用されるものだけ提案しよう」と考えるようになると、いつの間にか提案が無くなってきます。

しかし、チープな提案であったとしても、数が集まってきたら、別のアイデアと融合させたり熟成させたりしているうちに、ビッグなアイデアに変わっていく場合があります。

社長は、提案してもらえることに感謝しつつ、提案がなぜ採用されなかったのか理由を説明してあげる必要があります。

提案に対するボーナスを出す会社の事例

とある企業では、「何か提案を出したら提案1件に対して500円を支給する」と規定しているところもあります。そのボーナスを、「給料とは別の口座に振り込む」としている企業もあります。社員たちはお小遣いを稼ぎたいので、必死にアイデアを出しまくっていて、月100個以上もアイデアを出す社員もいるぐらいです。

また、別の会社では、業務改善が見込まれるようなアイデアを出した場合、その1年間の経費節減や利益アップを試算して、その利益分の数パーセントをボーナスとして支給する会社もあります。

最初はお小遣い稼ぎとゲーム感覚でアイデア出しをしているうちに、考えることが染みついていくので、社員の成長につながりやすいです。

強制的に提案を出させている会社の事例

とある製造業の会社で、提案制度が導入されました。その制度は、「今月から毎月10個以上の提案を出すこと。それができない場合は昇給やボーナスの査定に響く。」というものでした。

何カ月かは、毎月10個の提案はできていたのですが、半年もしてくるとだんだんと提案できる内容が少なくなってきました。社長は、その提案すべてに目を通していて、社員がごまかして以前に提案したものをもう一度提案しようとしたら、「この提案は以前と同じだ。やり直し」という具合でした。

1年もすると、提案が苦痛となってきて、若手社員を中心に会社を辞めていく人が続出してしまいました。

提案制度は、やり方によってはアイデアがたくさん出てきたり、社員が辞めてしまったりと真逆の結果が出てくる場合があります。

集めたアイデアをどうするのか?

社長は、集めたアイデアを、定期的に眺めるようにしてください。

社員から集めたアイデアを眺めていると、中には「これはいい!」と思えるようなものもあります。また、見た瞬間はいいとは思わなくても、時間とともに「よくよく考えてみたら、いいアイデアだ」と思えてくるものもあります。

そういったものがあれば、そのアイデアを実施すると、どのような効果がもたらされるのか。関係者にどのような影響があるのか。どれぐらいのコストや時間がかかるのかなどを検討します。

チープな提案であったとしても、数が集まってきたら、別のアイデアと融合させたり熟成させたりしているうちに、ビッグなアイデアに変わっていく場合があります。

いいアイデアは、優先順位をつけて実施していかなければなりません。

以上、中小企業の社長が「会社をイノベーションさせたい」「イノベーションを成功させたい」と考えた場合の注意点をまとめました。

中小企業の社長で、「我社をイノベーションさせたい」とお考えの方で、イノベーションが進まなくてお困りの方は、ぜひ当社のコンサルティング支援をご利用ください。

また社長ご自身がアイデアをまとめたい場合もあることでしょう。お一人でアイデアをまとめるためには、とても時間がかかります。そういった場合は、話し相手としてビジネスコーチングのサービスをご利用ください。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら数千を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくりる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

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