社長の夢実現への道

売上高が下がる原因と点検項目

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売上高が下がる原因とは?

このコラムをご覧になられる方は、今まで売上があったのに、少しずつ、もしくは急に売上高が下がってのことでしょう。

このコラムでは、今まで売れていたことを前提として、売上高が下がる原因や、その対策をご紹介いたします。

そもそも、良い商品を開発したり生産したりしても、販売しなければ売上高はゼロです。まずは、販売の努力をなさってください。また、良い商品でないと売れないので、良い商品を提供することをお考えください。

なお、その良い商品とは、自社目線ではなく「お客様が魅力に感じるもの」のことです。

売上高の計算方法

売上高が下がる原因を述べる前に、売上高の単純な計算方法をご説明いたします。売上高は、次の式で計算できることは、誰しもご存じのことでしょう。

売上高=客数×客単価

1年間の客数と、1年間の平均客単価を掛けると、年商の金額が計算できます。ここで、客数とは、店舗経営をしていたら来店して、商品やサービスを購入してくださったお客様の人数です。BtoB営業では、お取引先の数になります。

もし、季節変動などなければ、今までのおおよその平均客単価を知っていたら、どれだけの客数があれば、どれだけの売上高になり、会社や店舗が維持できるのかを、計算で出すことができます。

上記の式によると、売上高が下がる原因は、客数が減ったか、客単価が減ったか、もしくはその両方です。それぞれ、ご説明いたします。

客数が減った

客数が減った場合には、平均客単価が一定だとすると、売上高は客数が減った量に相対して、売上高も減ります。

客数には、新規顧客とリピーターがあり、客数は新規顧客とリピーターの人数を足したものです。上記の計算式は、次のように変換できます。

売上高=(新規顧客数+リピーター数)×客単価

新規顧客とリピーターの人数が、それぞれ減った理由は、同じ理由もありますが、異なる理由もあることでしょう。それぞれの性質が異なるので、分けて考えた方が良いです。

新規顧客が減る理由

新規顧客は、店舗や会社の存在を知らない人が、何かのキッカケで知り、お店に来店してくださったり、会社にお問い合わせしてくださったりします。

何かのキッカケで知ることによって自社に来てもらえるのですが、自社のことを知る人が少なくなって、新規顧客数が減ります。

競合他社の営業力の強化

その主な理由の一つは、競合他社の営業力の強化です。

お客様が商品を購入したいと思ったときに、しっかりと営業活動をしている企業と、まったく販売していない企業があれば、全社の方を購入する人の方が多いことでしょう。

お客様にとっては、知っている商品をなるべく購入しようとするからです。

竹田陽一先生によると、競合他社が自社よりも2倍の回数、お客様に営業をしている場合、その攻撃力は2乗で利いてくるので、4倍の攻撃力が出てくるそうです。自社がまったく営業活動をしていなければ、ほとんどの人が競合他社で購入するようになってしまいます。

競合他社が行っている基本動作は、自社でも行った方が良いことはもちろんのこと、「相手が2倍なら、こちらは4倍だ!」という意気込みが大事だと思います。

顧客が求める販売方法の変化

販売には、広告宣伝と顧客フォローがあります。そのどちらかの方法が、顧客が要求するものに合わなくなってきた場合には、新規顧客が減りやすいです。

例えば、インターネットの活用です。今ではインターネットで商品やサービスを探す時代ですので、未だにホームページを持っていなかったり、ネット販売していなかったりする企業では、売上高がますます減少することでしょう。

「SNSは使ったことがない」とは言っていられない時代なのです。

ときどき、「ホームページなんかで集客はできない」とおっしゃる社長を出会うことがあります。私からすると、充分に集客できる自信があったとしても、知識がなければ新規顧客獲得のチャンスをふいにしてしまう場合もあります。

何か情報を得たら、自分だけの知識で否定してしまうのではなく、確認はするようにした方が良いでしょう。

SNSの書き込み

また、稀なケースですが、リピーター離れに伴って、悪い噂が広がっている場合があります。

リピーターが減っていることと関連しますが、インターネットでの書き込みで、「お店の味が落ちた」とか「店員の対応が悪い」などと書き込まれたら、お店を探している人からすると、そのお店は選択肢から消えます。

店舗経営をされている経営者は、できればネットの書き込みをこまめにチェックしておいた方が良いです。ネガティブな書き込みを発見しても、感情的に反論しない方が無難です。

リピーターが減る理由

レピーターの人数が減る理由は、簡単です。私が答えるまでもありませんが、その理由は、商品やサービスの質が落ちたか、自社の商品やサービスよりも高い質のものを競合他社が提供するようになったかのどちらかです。

自社の商品やサービスの質には、商品やサービスそのものの質もありますが、提供方法の質もあります。

商品やサービスが売れていると、それに安心(慢心)して、提供方法の質が低下することがあります。また、商品やサービスの改善をすると、それによって集客ができるようになったら、そのことに安心(慢心)して、提供方法の質が悪くなる場合があります。新商品や新サービスを開発したときも同様です。

そして、商品やサービスの質は落ちていないのですが、競合他社の商品やサービスの質が上がって、リピーターがそちらの方に取られて、減っていく場合があります。

例えば、自転車は電動アシスト自転車の影響でリピートしなくなることでしょう。また、電動ロードバイクの出現によって、リピート数が減る商売が出てきそうです。その逆に、新しい商売が出てくることと思いますが。

客数が減ったときの点検項目

客数が減った場合の理由を簡単に述べましたが、他にも理由があることでしょう。客数が減って困っている企業は、次のことを点検してください。それでも原因が判らない場合は、コンサルティング支援をご依頼ください。

理念に合わない商品を出した

よくあるパターンですが、自社にとっての本業ではなく、ワイドワークとなる事業を拡大したときです。そのときに、本業がおろそかになって、商品やサービスの質が低下し、顧客離れが起こる場合があります。

質が落ちた

顧客が求めている価値として、以前と変わらぬ価値、もしくは以前よりも高い価値を求めます。その価値が落ちた場合にも、顧客が離れていく場合があります。

社長がコスト病を発症したときにも、質が落ちる場合があります。仕入れを変えて、商品の質が変わったことを、顧客が敏感に見抜いてしまったら、利益は一時的に出るかもしれませんが、売り上げが落ちて、利益も落ちることでしょう。

また、営業担当者が変わったり、料理人が変わったりと、接客の担当者が変わったりすると、商品やサービスの質が落ちる場合があります。これも要注意です。

立派な会社は、誰が担当しても質が下がらないものです。

基本が徹底されなくなった

商売には基本があります。例えば、店舗経営でしたら笑顔での接客は基本でしょう。飲食店であれば、料理の味は基本ですし、店舗の掃除がおろそかになったら、「汚い店舗になった」ということで顧客が離れていきます。顧客対応の基本もあります。製造業であれば、5S活動も基本です。

基本が徹底されなくなる理由はさまざまですが、主なものとして次のようなものがあります。

  • 自社の基本が何か明確になっていない
  • 会社が大きくなって教育がおろそかになった
  • 社長が基本を徹底していない

自社の基本を明確にすることは、行動指針や方針などを作成することから始めると良いでしょう。

そもそも新規顧客獲得をしていない

製造業やコンテンツ制作などの中小企業でよくあることと思いますが、既存顧客からの下請けばかりを続けてきて、新規顧客獲得をしていない企業があります。

既存のリピーターばかりであれば、当然ながらリピーターが減ってきたら、顧客数が減ります。リピーターの減少に合わせて、新規顧客を獲得できるように営業や販売を強化していく必要があることは、企業としては当然のことです。

営業や販売のノウハウができれば、きちんとした企業に成長できるものと思います。

新規顧客獲得のノウハウの蓄積は、社長にとっては多大な労力がかかります。お客様とのコミュニケーションの仕方を学んだり、どのような資料をご用意したら良いのかを検討したり、見積金額の出しカにも研究が必要になります。

今現在、もっとも効率的な新規顧客獲得方法は、Web集客です。当社では、Web集客コンサルティングと称して、集客ホームページの新規制作や既存ホームページの改善等を支援していますので、ご興味があればご連絡ください。

客単価が下がった

顧客数は減っていなくても、「客単価が下がった」「お客様一人当たりのお会計金額が減った」という場合は、売上高が下がります。

例えば、月間100人のお客様がいて、平均客単価10,000円であれば、月商100万円です。顧客数がそのままで、平均客単価が80万円に減ったら、月商80万円に減ってしまいます。

客単価が下がる理由

客単価が下がる理由としては、次の2種類が主なものです。

  1. お客様からの値下げ要求
  2. 市場価格の低下

お客様からの値下げ要求

お客様からの値下げ要求は、例えば、今までリピーターに100万円で販売していたものを、「90万円で販売してほしい。ダメなら他のところで購入する。」と言われてしまった場合です。

このように言われてしまった場合、値下げに応じなければいけないこともあります。

お客様は、「商品をなるべく安く手に入れたい」、「交渉によって、安く仕入れて高く売ることで、利益を多く出したい」と考えています。

そこでお考えいただきたいことは、自社商品の市場での価値です。市場を知らない人であれば、お客様からの値下げ交渉で、「値下げをしないといけないな」と安易に考えてしまうのですが、市場を知っていて、自社商品に優位性があれば、反対に価格を上げる交渉ができると思います。

お客様からの値下げ要求に対しては、需要と供給を知り、自社商品の市場での優位性を知ることです。市場での優位性を知ると、反対に価格を上げる交渉がしやすくなります。

市場での優位性を知る方法は、マーケティングの3C分析が最適です。

市場価格の低下

市場価格は、基本的に需要と供給のオークションで決まります。

「欲しい」と思っている人が多く、販売数が少ないと、価格が多少高くても購入します。緊急度も価格に影響し、「すぐにでも欲しい」と思っている人は、さらに高い値段でも購入します。

砂漠の中を旅していて、水が尽きてしまったときに、「ペットボトルの水を1本だけありますが、1万円でお譲りします」と高い値段を言われても、「ください!」と言いそうになります。もしかしたら、別の人が「私は1本2万円を出すので、私にください」と躍起になるかもしれません。

このようにして、需要と供給で値段が変動しますが、逆に値段が下がる場合もあります。それは、販売しているものを、人々が欲しいと思わなくなってしまった場合です。

また、市場価格が下がっていなかったとしても、GDPが上昇していたら、相対的に市場価格が下がっているとみなされます。このことにもご注意ください。

市場価格が低下した場合の場合の対策は、価格が下がらないように、商品やサービスの付加価値を高めていくことです。商品提供までのリードタイムを縮めたり、顧客対応を改善したりすることも、付加価値になり得ます。

競合他社の値下げを仕掛けてきた場合は、応戦の仕方は状況により異なります。競合他社の値下げ対策については、別の機会でご紹介したいと思います。

客単価が下がったときの点検項目

客単価が下がったときに、一般的に考えやすいことは、「市場が安いものを求めるようになった」と考えることです。

市場が安いものを求めるようになったことは、確かなことかもしれませんが、私は「本当にそれだけが原因ですか?」と思うわけです。

ムーアの法則のように、パソコンの性能は毎年上がっていっていますが、パソコンの価格は昔からそれほど変化はありません。つまり、商品やサービスの付加価値が増えていかなければ、売上高や利益は相対的に下がっていくものです。

市場が無くなった

顧客数が減ったことと同じようなこととして、市場が無くなって売上高が下がることがあります。市場がなくなるときには、主なものとして「ブームが去る」というものがあります。企業として気を付けることは、法律による規制を思いつくことでしょう。

最も注意すべきは、予期せぬ新技術の台頭です。

ブームが去った

ブームが去って市場がなくなる場合には、売上高が下がる原因は、すぐにわかります。しかし、原因がわかったところで、ほとんどの場合は撤退しかありません。

最近では、タピオカの例がそうです。お気の毒な話ですが、タピオカの持ち帰りの店を開店さそのお店は開店したと同時にブームが、サーッと引いていき、流行病が到来。3ヶ月ほどで。閉店してしまいました。

高級食パンブームもありましたが、今では売上高が大きく落ちたり、赤字経営におちいったり、自己破産したりというニュースが出てくるようになりました。高級食パン販売店の多くは、経営が大変なことでしょう。

家電量販店には、髪の毛がストレートでさらさらになるストレートアイロンというものがあります。テレビ番組で、「これがいいんですよ」と放送されてから、1週間ぐらいは若い女性の方が、家電量販店に訪れたら、ほとんどが「ストレートアイロンください」とのことでした。ところが、すぐに在庫が切れ、半年待ちになりました。ところが、そのブームは1週間で過ぎ去り、半年後に入荷したときには在庫の山でした。

家電でも、ドラム型洗濯機はブームが続いています。ドラム型洗濯機は、節水ができ乾燥までしてくれるので、利便性が高い製品です。女性が家事を減らす時代にマッチした製品で、縦型洗濯機と比べて、値段が2倍程度も高いのにもかかわらず、売れています。

ブームが来たものは、そのブームがどれだけ続くのか見分けることは、とても難しいものです。しかし、「ブームがある」ということを知っているだけで、被害を防ぐことができると思います。

ブーム性のありそうなものは、チェーン展開することや、FC店の経営は危険だということです。

新技術の台頭

競合他社が出てきて市場が消えてしまうことは、あまり考えられないこととお思いのことでしょう。ところが、競合とも思っていなかったところが、新技術を市場に投入してきて、あっという間に市場を奪われてしまうことがあります。

パソコンが台頭してきて、すぐさまワープロが消えていきました。青色発光ダイオードの技術が出てきて、豆電球の市場はあっという間に無くなっていきました。

これを防ぐための方法としては、「自社の製品やサービスが、まったく使用されなくなった社会とはどういった社会なのか?」を考えることで、自社が取るべき方針が見えてくることでしょう。

「市場が無くなった」と感じたときの点検項目

まず点検していただきたいことは、「本当に市場は無くなったのか?」ということです。

上記のようなブームが過ぎ去ったこと、新技術に市場を奪われたことであれば、「市場がなくなった」と言えるかもしれません。ところが、よくよく考えてみると、タピオカのお店で、未だに行列ができているお店があります。豆電球も完全に消えたわけではありません。

そこには、何らかの工夫が必要だと思います。市場の変化を読み取って、進化していかなければならないと思います。

レコード針のメーカーの社長インタビューをどこかで見たことがありましたが、「他にやることがなかったので、やり続けたらメーカーの数が少なくなり、売上が増えた」というようなことを述べておられました。がんばってやり続けたら、そういったこともあります。

対策が功を奏して売上が伸びたときの注意点

さて、対策が功を奏して売上が伸びたときは、謙虚さが大事です。安心して自慢話をしていると、競合他社の熱意に火を灯してしまう場合があります。

また、競合他社に売上が伸びた理由を尋ねられたら、本当の理由を話してはいけません。お人好しに成功理由を伝えたら、競合他社の台頭を許してしまう可能性があるからです。

雑誌の取材や講演会などのものは、社長の徳を失ってしまうものとお考えください。何か訊かれても、「お客様への愛です。とにかくお客様を愛することを思いました。」とでも答えて、はぐらかせた方が良いです。

Web集客コンサルティングのお客様で、売上アップし過ぎた方には、同業他社から理由を尋ねられるときは、「なぜかわかりません」と答えるようにしてもらっています。

圧倒的なシェアを取り、業界をけん引したいとお考えの社長は別として、お人好しは競合他社の台頭を許してしまうことを覚悟してください。

以上、売上高が下がる原因と点検項目、対策などを述べてまいりました。

売上高が下がる原因は、上記のことが1点だけであれば分かりやすいのですが、相乗効果で攻め込まれることが多いです。そういった場合は、分析を行って、それぞれの原因を潰していくことが大事です。

売上高が下がって焦っているときは、一攫千金を狙っても、宝くじでなかなか当選しないように、うまくいくものではありません。

売上高が少しでも低下したら、利益は大きくダウンしてしまいます。(「経常利益を倍増したいとき目標売上はどれくらい?その計算方法とは?」を参照)

そのため、兆候を早めに気が付き、早めの対策をすることが肝心です。売上高が下がる兆候をつかむ方法については、別の機会でご説明いたします。

まずは、社長自ら原因を探ることから始めることが肝心です。社長が会社で座っていたら、その原因(真因)はいつまでたってもつかむことはできません。すぐさま、お客様のところに出向いて、我社の商品やサービスが選ばれない理由を感じ取ってください。

その感じ取ったことを、当社にご相談ください。売り上げが下がった理由の分析や、その対策を、わかりやすくご説明いたします。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら数千を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくりる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

プロフィール詳細


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