社長の夢実現への道

従業員が共感する行動指針の作り方と正しい浸透方法

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行動指針の作り方と浸透方法をお教えします

このコラムは、行動指針を作成したけれども、なかなか浸透しなくてお困りの経営者の方に、従業員が共感して浸透していきやすい行動指針の作り方をご紹介いたします。

行動指針が浸透しない場合の原因は、行動指針の内容が良くないか、浸透のさせ方が良くないかのどちらかです。

良い行動指針は、従業員の皆さんに受け入れられ、彼らの考え方と行動を良き方向に変える内容になっています。

次の目次に沿って、従業員の皆さんに受け入れられるための条件や、行動指針に盛り込むべき内容、正しい浸透方法について、序論的に述べたいと思います。

行動指針を作る理由

行動指針を作るに当たって、まず明確にすべきことは、「自社は何のために行動指針を作るのか?」という作成の理由です。

良い行動指針を作るためには、まず、「行動指針が必要になった理由」と「行動指針を導入して組織にどのような変化を起こしたいのか」を明確にすることが大事です。狙った成果が出る内容の行動指針を創り上げていくことです。

行動指針を作る理由は、やはり「従業員に関する悩みを解決するため」です。

社長は、「競合他社の方が、社員がしっかり働いている」とか「雇った社員の成長が遅い」などといった、従業員に対するさまざまな悩みがあると思います。

創業社長の場合と、継承社長の場合で、「従業員に関する悩み」は異なります。行動指針の作成に初めて取り組む会社でよくある「従業員に関する悩み」をご紹介いたします。

創業社長のよくある「従業員に関する悩み」

創業社長は、多くの場合、社長一人か、気心の知れた数人で仕事を始めることが多いでしょう。その商品やサービスが売れて、社長一人では回らないほど忙しくなり、家族や親戚、友人知人に声をかけて従業員を増やします。この頃までは、話のよく通じる人たちが集まっているため、行動指針などを作らなくても、チームプレーがうまくゆくことも多いものです。

そして、さらに仕事が入るようになると、いよいよ一般採用を行って、まったく見ず知らずの人たちを面接し、その中から「良さそうな人」に入社して頂いて、組織を作ってゆくことになります。

ところが、一般採用をし始めて次の2つの問題点が出てきます。

  1. 採用面接で適正が見抜けない問題
  2. 経営幹部の仕事能力の限界

採用面接で適正が見抜けない問題

一つ目は、従業員たちの採用での問題です。

社長や採用担当者が人間通であるとしても、履歴書、職務経歴書を出してもらい、採用面接をしただけでは、従業員としての適正を見抜くのは至難の業です。

面接の時には良い人だと思ったけれど、実際に数カ月働いてもらうと、地金が出てきて、予想外に仕事ができなかったり、対人関係が苦手であったり、考え方がズレていることがハッキリ判ったりして頭を抱える、といったことが起きてきます。

実際にあった話ですが、「雨の日に出社することがイヤになって、会社を辞めた」という酷い人もいます。

採用には時間とコストがかかりますが、社長や採用担当者が人間通でないばかりに、会社が求める人材を採用できない場合があります。

経営幹部の仕事能力の限界

もう一つは、経営幹部の仕事能力の問題です。

創業時から一緒に働いてきた気心の知れたメンバーは、一般採用の従業員が増えてくると昇格して、専務、常務、部長といった役職に就くことになります。

しかし、中小企業では経営幹部として仕事を全うするための勉強をしたことがないために、仕事を体系化して、新しく入社してきた従業員を教育し、組織として仕事を進めることができないことがほとんどです。

社長としては、会社が発展して、より多くのお客様の役に立て入ることは嬉しい事ですし、やりがいそのものです。しかし、同時に、経営幹部の仕事能力に限界が出てきて、組織としての仕事がうまくゆかなくなることが起きてくるわけです。

承継社長のよくある「従業員に関する悩み」

一方、先代の社長から事業を承継した二代目、三代目の社長の場合はどうでしょうか。

先代社長が陣頭指揮を執っていた時代と、事業を承継した現在では、会社を取り巻く経営環境が大きく変わってきているはずです。

そこで新社長は、会社の未来を切り拓くために、顧客、市場、競合、業界、社会情勢を広く見て大局的に考え、先代社長の時代に築いた成功パターンを捨て、イノベーションを図ろうと考えます。

そこで、経営幹部や社員たちにイノベーションについて相談するのですが、最初は社長の意図を理解してくれる従業員は数少ないものです。

先代社長からの古参の幹部社員からすると、承継社長は子供の頃から知っている存在です。いくら時代が変わったからと言っても、イノベーションに対する古参社員の反発は免れません。

このように、社歴が長くなり、組織が固まってしまった会社では、今までの仕事の仕方や考え方を変えていくのに苦慮することが多いでしょう。

従業員たちの中には、慣れ親しんできた仕事のやり方を変えることに抵抗を感じている人もいることでしょうし、自分の仕事を属人化して他の人に渡さないように自己防衛している人もいるかもしれません。

創業社長であれば、人の問題が出てきて、行動指針を初めて作るタイミングを迎えます。

承継社長が会社を引き継いだときに、すでに行動指針が存在していることもあるのですが、それが形骸化して機能していない場合には、従業員の悩みがすでに発生している状態だと思います。そういったときは、「行動指針を作り直すタイミングだ」とお考えください。

経営理念と行動指針の関係

いずれの場合も、人と組織に関する問題を解決するためには、まず、従業員たちの心をつかむことが出発点です。

行動指針は、会社の基本理念やビジョンを共有した上で、どうしたらその理想に到達できるか、という方法に当たるものです。そのため、行動指針を作成しても、従業員たちの心をつかむことはできません。

経営理念を作成し浸透・共有する目的

社員の心をつかむ方法をご説明する前に、経営理念を作成し浸透・共有する目的をご説明いたします。それは、大きく分けて3つあります。

  1. 従業員たちの熱意、モチベーションを高め、一体感を醸成する
  2. 従業員たちに、仕事に取り組む上での正しい心構えを身に着けてもらう
  3. 従業員たちが、成果を上げるための仕事能力を高めてゆく

行動指針は、2つ目と3つ目の機能を持つものです。つまり、行動指針の持つ役割は、「従業員たちに正しい心構えを身につけてもらうこと」と「成果を上げるための仕事の仕方や考え方を学んでいただくこと」です。

1つ目の、従業員たちの熱意やモチベーションを高め、一体感を醸成する機能を果たすものは、基本理念やミッション、ビジョンなどです。

ですから、まず、従業員たちの心をつかみ、彼らの熱意、モチベーションを高めるためには、基本理念、ミッション、ビジョンを打ち立てることが非常に大事です。

経営理念の構成

そのようなことから、経営理念はいくつかのパーツで構成されていることが分かります。

基本理念、ミッションは、会社が実現したい理想を的確な言葉として表現したものです。ただ、基本理念やミッションは、大きな概念ですから、やや抽象的な表現になることが多くなります。

そこで、会社が将来どのような会社に成長していくのか、その通過点や最終形態をビジョンで示します。ビジョンとは、抽象的に表現された基本理念やミッションを、まるで目に見えるように具体化して未来の会社の姿をありありと描けるようにするのです。

「多くのお客様の役に立ち、喜びを与える会社になる」という未来の会社の姿が想像できるような説得力のある生き生きとした基本理念やミッション、ビジョンが求心力となり、その実現を信じることによって、従業員たちの心のモチベーションが高まり、全社的な一体感が出てくるのです。

当社では、「経営理念とは、次の4つのパーツで構成されたもの」と定義しています。

  1. 基本理念
  2. 企業ビジョン(全社目標)
  3. 経営指針
  4. 行動指針

これらがあって初めて行動指針が機能し、従業員たちが仕事に対する正しい心構えを持ち、成果を上げるための仕事能力を高めていくことができます。

行動指針の内容

行動指針の浸透によって、従業員に仕事に取り組む上での正しい心構えを身に着けてもらうことや、成果を上げるための仕事能力を高めていってもらうためには、行動指針に次の2つの内容が全方位的に盛り込まれていなければなりません。

  1. 人間性の成長
  2. 仕事能力の向上

行動指針の内容は、2つの言葉だけで表現するのではなく、これをかみ砕いた条文で構成します。その条文は、社長が経営をしてきて得られた教訓をベースとして、いくつもの言葉を組み合わせたものとして、作成してゆきます。

人間性を成長させるための行動指針を作成したい方は、「従業員の人間性の成長を考えた行動指針の内容とは?」をご参照ください。

この2つの内容を、全社員向けに網羅した行動指針は、膨大な量になると思います。そこで、次の4種類に分けて内容を作成し、社員毎に適切なものを浸透のテキストとして使用します。

  1. リーダー向け行動指針
  2. 一般社員向け行動指針
  3. 新入社員向け行動指針
  4. 行動指針の「あいうえお」

行動指針の「あいうえお」とは、行動指針の基本的なことを5つ選び、具体的な行動を記載したものです。詳細は、行動指針の「あいうえお」のすすめをご覧ください。

社長を含む会社のリーダーは、1番めの「リーダー向け行動指針」だけに従うのではなく、1~4のすべての行動指針に従います。

行動指針の浸透が難しい理由

ここまでで述べましたたように、行動指針を作る前に、基本理念やミッションを構築することが基本ではあります。

しかし、これらをつくり上げるためには、会社が存在し続ける意義や、会社全体で大切に守り育てたい価値観を、社長の考えを煮詰めて結晶化し、言葉に変換する必要があります。

これは、会社の風土、社風を醸成してゆくための大切な内容ですから、つくり上げるには相当の時間を必要とします。

そこで、まずは行動指針を作り、それを元に従業員教育を始めたいとお考えの社長もいらっしゃると思います。

そこで、「先に行動指針を作って、従業員に心から受け入れてもらうためには、どのような要件が必要か」について考えてみたいと思います。

行動指針浸透の難しさ

行動指針を作って従業員研修し始めた会社からよくあるご相談が、以下のようなケースです。

「研修中は、皆よく話を聴いてくれ、ディスカッションでもよい話をしてくれる。これでさぞ皆の仕事ぶりがよくなるだろう、と期待していたのに、考え方も行動も全然変わる様子がない。」

なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。

従業員の皆さんは、ディスカッションでは、よい話をするのですから、内容が理解できないわけではありません。

会社からお給料を戴いて仕事をしている従業員の立場で考えると、社長から行動指針を示されれば、その内容について考え、日常の仕事に照らし合わせて発表することはできます。

しかし、皆は、示された行動指針を心から納得していないのです。

行動指針にいくら良いことが書いてあっても、心から納得していないことは受け入れられません。今までの仕事のやり方でうまくいっていたわけですから、受け入れて仕事を改善して理想の在り方を追求するようなことはありません。仕事を頑張っても給料は上がりませんし、改善していく中でミスがあって、他の人に迷惑をかけてしまうことも考えられます。

従業員たちが、行動指針の大切さを理解し、納得し、心から受け入れない限り、自分たちの考え方と行動を変えることには繋がらないのです。

では、従業員の皆さんに心から受け入れられる行動指針の条件とはどのようなものでしょうか。

従業員たちが行動指針を受け入れにくい2つの原因

行動指針という言葉には、「針」という字が入っています。コンパスの針のように、向かうべき方向を指し示し、考え方と行動をその一点に絞り込むということです。

行動指針にそのような性質があるからこそ、従業員たちは行動指針に対してポジティブなイメージを持ちにくいのです。

従業員たちが行動指針に対してネガティブな印象を持ちやすい原因が2つあります。

1. 自己防衛本能が働く

原因の1つ目は、従業員たちに自己防衛本能が働くからです。

人間は、何かを得たいという気持ちよりも、今持っているものを失いたくないという気持ちのほうが勝るといいます。

そのため、行動指針を示されると、自分を守るための自己防衛本能が働いて、「自分たちを縛りつけ、会社の都合を押し付けられるのではないか。不自由になるのではないか」という印象を持ちやすいのです。

2. 自己変革を要求される

原因の2つ目は、自己変革を要求されることになるからです。

行動指針として、あるべき方向性を示されるということは、自己変革を要求されることになります。

この自己変革、自分を変えていく、ということには、それ自体にストレスを伴います。なぜなら、自己変革には反省と努力が伴うからです。

行動指針は、仕事に対する理想的な考え方が書かれたものです。それゆえに、行動指針に照らして、素直に自分の内面を見つめ、自らの考え方の間違いに気づき、考え方や習慣を変えていくことは大変です。

ストレスや責任の回避から、「今のところ、仕事がうまく流れているのだから、そのままでいいじゃないか」と反発もされます。

行動指針を浸透させる3つの方法

そのような行動指針が浸透しない原因を回避するための3つの方法をご紹介いたします。この3つの方法を考えると、浸透する行動指針の内容がどういったものかを発見できます。

1. 「痛みと快楽の原則」を応用する

心理学に「痛みと快楽の原則」というものがあります。簡単に言えば、「あらゆる人は、痛みを避けて快楽を得るために行動する。ただ、人によって痛みと快楽の質が違う」という考え方です。

禁煙の例え

タバコを禁煙するときの例えで説明してみましょう。

喫煙者にとっては、タバコを吸うことは快楽であり、禁煙は苦痛です。反対に、非喫煙者にとっては、タバコのない環境は快楽であり、タバコの煙の臭いがする環境は苦痛です。このように、痛みと快楽の質が逆になっているのです。

喫煙者が禁煙したいと考えた場合、タバコが快楽だと思っているのに「我慢して禁煙する」という方法を取っても、あまり長続きしないであろうことが分かります。

一方、「タバコのネガティブな情報を増やす」という方法を取る人は成功確率が高まります。快楽と苦痛のシーソーが逆転すると、タバコを吸いたいという気持ちが起きなくなって、禁煙に成功することができるわけです。

「痛みと快楽の原則」を応用した行動指針の浸透方法

この考え方を行動指針に当てはめて考えてみましょう。自己防衛本能が強い人にとっては、自己変革は苦痛です。

しかし、向上心にあふれた人、起業家精神に富んだ人は、自己変革して自分を高めることに喜びを感じます。

ですから、「自己変革によって自分を高めることの喜び」が大きくなり、自己変革の苦痛を超えれば、行動指針を受け入れることができるようになります。痛みと快楽の価値観のシーソーが逆転した時点で、行動指針を正面から受け入れられるわけです。

このような心理が働くように行動指針を作り、浸透させることが必要です。

そこで、行動指針によって、どのような方向性を指し示すかが非常に大事になります。つまり、行動指針が指し示す方向に進むことで、自分自身の幸福度が高まり、より豊かになっていくことがイメージできることが大切です。

行動指針の内容を、全編を通して従業員のためになる内容にし、浸透させるときにそのことを熱心に伝えるのです。

正しい行動指針の内容とは?

もちろん、これは従業員に迎合した内容にすることではありません。

基本理念やミッション、企業ビジョンを達成している会社の姿は、「いい従業員」や「優秀な従業員」でいっぱいのはずです。従業員に迎合した内容の行動指針を浸透させてしまったら、そういった社員に育つことはありません。

行動指針は、人間性を高める内容と、仕事能力を高める方法の2つを軸に内容を練り上げることが大事です。

「人間性を高め、仕事能力を高めるためには努力を伴うが、努力の過程で、成果が出たり、焦りや不安がなくなったり、感謝が深まったり、幸福感が高まったりする」ということを熱心に、繰り返し伝えることによって、従業員たちが行動指針を受け入れる心の扉が開いてゆくのです。

2. 行動指針の項目数を絞り込み、できるだけ短く易しい言葉を使う

行動指針の内容が固まってきたら、それを言葉としてまとめ、順番を付けてゆきます。

項目の数を絞り込むこと

行動指針を完成させる際に留意したいことは、まず、項目の数を絞り込むことです。

人間は同時に2つのことを考えられません。「飛行機に乗っている自分と、船に乗っている自分を同時にイメージせよ」と言われても、なかなかできるものではありません。

ですから、行動指針の項目数が20も30もあると、それを記憶するだけでも大変ですし、どれを、どのタイミングで使ったらよいのかも分からなくなってしまいます。

もちろん、行動指針を作る際には、最初は社長が従業員たちに身につけてほしいと思う内容をすべて出し切ることが必要です。

その後で、統合できるものはできるだけ統合し、時事的な内容のもの等は別の研修材料にするなどして、現時点で、これは普遍的であると思える項目に絞り込んでゆきます。

例えば、「お客様に喜んでいただく」と「お客様に必要とされるものを提供する」という2つの項目があったとします。それを、「お客様の立場で考える」という言葉1つに統合することができます。

社長は、「従業員に学んでほしい」と思うことが沢山あり、絞り込んでも項目数が多くなってしまうことが多いです。その場合には、行動指針研修の際に、項目の中から1つか2つをピックアップして、集中して学んでもらい、一定期間、その項目を徹底して考え、実践するように運用してゆくとよいでしょう。

行動指針の条文はできるだけ短く易しい言葉で表現すること

また、行動指針の条文自体をできるだけ短く、易しい言葉で表現することが大事です。

長い言葉や、難しい言葉も、やはり従業員がなかなか覚えることができません。これでは、せっかく研修会などの時に勉強しても、普段の仕事に活かすことができません。

ですから、行動指針はなるべく短く、小学生でも理解できるくらい易しい言葉で表現することが大切です。

高度な内容を易しい言葉で表現するのは難しいことですし、本当に小学生が理解できる内容になるわけではありません。しかし、その作業はパズルを解いていくような楽しさもあります。従業員の皆さんの顔を思い浮かべながら、内容をよく理解していただけるような言葉を選んでいくと良いでしょう。

3. 上に立つ者が行動指針を実践し浸透させる

行動指針が出来上がったら、研修会などの機会を作って全従業員を対象に共有してゆきます。人数が多い場合は、まず幹部社員に行動指針を学んでもらい、幹部社員が管理職や一般社員に研修を行うスタイルを取ります。

しかし、研修を行ってもなかなか浸透するものではありません。考え方が凝り固まった人を説得するのに時間がかかるように、行動指針の浸透にも時間がかかります。研修を行って、行動指針の内容を理解しても、1週間後には忘れ去っているものです。ましてや、行動指針の内容を府に落として、普段から仕事に取り入れて習慣化するとなると、場合によっては何年もかかる場合があります。

浸透は上から下へ

この時に大切なことは、上から下に浸透を図ってゆくことです。

川の水が高いところから低いところに流れるのと同じで、社長から幹部へ、幹部から管理職へ、管理職から一般社員へ、一般社員からパート・アルバイト社員へ、というように、上から下に向かって浸透を図ってゆくことが大事です。

そのためには、上に立つ人が、率先して行動指針の内容をよく理解し、実践することが大切です。

上に立つ人は認識力が高いため、行動指針に込められた意図をより深く理解できますから、実践によって多くの気づきを得ることができます。その気づきがあってこそ、生き生きとした言葉で部下に教えることができるようになるのです。

治外法権をつくらない

社長や幹部社員が「治外法権」で、行動指針を実践しないのでは、絶対に浸透しません。

部下たちは、恐ろしいくらい社長や幹部の治外法権を見抜きます。部下たちが上司の治外法権を感じてしまったら、「行動指針といっても、自分たちを都合よく動かすための道具じゃないか」と思ってしまい、心から受け入れることはないでしょう。

立場が上の人ほど行動指針に基づいて考え、仕事をする率先垂範型の組織では、従業員たちも襟を正して、行動指針を大切なものとして受け入れるようになっています。

とは言うものの、社長や経営幹部は仕事で忙しくて、行動指針の浸透ばかりに注力できる人はほとんどいません。しかし、目の前の従業員の悩みをそのままにもできません。

そこで、経営理念コンサルタントの支援を受けながら行動指針を作成し、浸透させることが、行動指針の内容を習慣化させていくことの、時間短縮につながります。

今回は、優れた行動指針を作り、浸透させるための基本的な考え方について述べてきました。

ここに述べた考え方を土台にして行動指針の作成、浸透を進めていただくことによって、より従業員の皆さんの顔が輝き、活気ある社風が醸成されてくるはずです。

行動指針を新規で作成したり、先代社長が作成し形骸化してしまった行動指針を作り直したりした社長は、この内容をしっかりご理解いただき、正しい行動指針を作成し、浸透させていってください。そして、立派な会社を創り上げていってください。

今後のコラムでは、行動指針に盛り込むべき「人間性の成長」と「仕事能力の向上」に絞って、具体的な内容について詳しく解説をしてゆきたいと思います。

もし、行動指針の作成で思い悩んでしまったら、当社の経営理念コンサルタントにご相談ください。お問い合わせをいただきましたら、経営理念コンサルタントからご連絡させていただきます。

当社の経営理念コンサルティングでは、社長の仕事に対する考えを浸透しやすい言葉に変換し、貴社オリジナルの行動指針を創り上げるご支援をいたします。

すぐにでも正しい行動指針を必要とする社長の場合は、当社の行動指針テンプレートをご利用いただけます。行動指針テンプレートをカスタマイズして、貴社に合ったものにリライトすることで、すばやく行動指針をご利用いただけます。こちらも、経営理念コンサルティングでご支援しております。

どうぞ、当社のコンサルティング支援ご利用ください。

この記事の著者

関山淑男

経営理念コンサルタント
関山 淑男 (Sekiyama Toshio)

経営理念の構築・浸透とビジネスコーチングのスキルに親和性があることに気づき、研究や実績を重ね、経営理念コンサルタントとしてのスキルを確立していく。社長としての経営経験や赤字企業の業績回復支援の経験から掴んだ教訓、ピーター・ドラッカー先生や一倉定(いちくらさだむ)先生などの経営理論を融合させ、独自の経営理念コンサルティング・メソッドを開発。

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