社長の夢実現への道

コーチングのチャンクアップ質問の効果とビジネス活用

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コーチングの質問の種類とチャンクアップ

コーチングのチャンクアップ質問「それはなぜですか?」効果とビジネス活用

コーチングとは、対話の相手を成功に導くためのコミュニケーションスキルの1つです。

コーチングでは、基本的に質問を行って相手に気づきを与え、自発的に物事に取り組んでもらえるように導きます。

コーチングの質問の種類にはたくさんありますが、会社の仕事で活用できる質問は、次の3種類の質問が主なものです。

  1. チャンクアップ
  2. チャンクダウン
  3. スライドアウト

チャンクアップ質問とは、簡単に述べると「それはなぜですか?」という質問です。

チャンクとは「塊」という意味だそうで、それを高めていくこと。つまり抽象化していく質問が、チャンクアップ質問になります。

チャンクダウンは、チャンクをぶつ切りにして、具体化していく質問です。スライドアウトは、「他にありますか?」という質問です。コーチングの質問は、これらの質問をベースとして、さまざまな種類があります。コーチングの質問の種類については、「コーチングで使う質問の種類」をご覧ください。

コーチングの質問は、コーチングをしているときだけでなくさまざまな場面で利用できます。

このコラムでは、次の目次に沿って、チャンクアップ質問の効果や、ビジネスで活用できる場面、チャンクアップ質問を使用するときの注意点をご紹介いたします。

チャンクアップ質問の効果

まず、チャンクアップ質問を使うと、どのような効果があるのかをご説明いたします。

チャンクアップ質問とは、基本的には「それはなぜですか?」と質問することですが、事象の本質を追求する質問になります。事象の本質を追求する質問は、「なぜ」以外にもあります。

問題の真因を追求できる

例えば、部下がミスしたときに、「なぜミスしたのか?」と聞くと、ミスの原因を追究することができます。

トヨタ生産方式の「5回のなぜ」は有名です。何か問題や課題があったときに、「5回のなぜ」で問題や課題の真因をつかむことができます。

チャンクアップは、問題や課題だけでなく、将来に実現したいことにも用いることができます。例えば、社長が「会社を大きくしたい」と考えたとしましょう。それに対して、「それはなぜですか?」と質問したら、「我社の製品で世の中を良くしたいから」という具合に、事業活動の本質が見えてきます。

独立したい人に、独立することに対してチャンクアップ質問をすると、「自分の可能性を試してみたい」という別の理由が見えてくることがあります。

質問相手のモチベーションを高められる

たいていの社長は、大なり小なり夢を持っておられることが多いです。その夢について、チャンクアップ質問をすると、夢を実現したい理由が見えてきます。

その理由は、たいてい「世のため人のため」であることが多いです。「世のため人のために尽くしたい」と考える社長は、やる気や熱意に満ちてきます。このやる気や熱意が、チャレンジ精神や責任感、仕事能力の向上、説得力などになり、会社を成長させていく原動力となります。

事業活動には浮沈があります。特に、社長の場合は利益がマイナスになりそうになると、現実に流されて事業の原点を忘れてしまい、モチベーションが下がってしまうことが多いです。そのモチベーションの低下が、余計に利益を減らしていく原因になることもあります。

そこで、チャンクアップ質問をして夢を描いたときの気持ちや事業の原点を思い出してもらうことで、再びやる気や熱意を引き出すことができます。

ビジネスコーチは、社長のやる気や熱意を引き出すことができることが大事です。

ビジネスでチャンクアップ質問が活用できる場面

ビジネスでチャンクアップ質問が活用できる場面をご紹介いたします。これは、私自身がチャックアップ質問をよく利用している場面を中心にご紹介いたします。

チャレンジの理由追求

部下が何かにチャレンジしたいと思ったとします。チャレンジしたいことに対して、チャンクアップ質問をしてみると、チャンレジしたい理由がわかります。

クライアント企業の経営幹部をご指導させていただいているときに、新規プロジェクトの企画を作成していただいたとします。そのプロジェクトに自分がチャレンジする理由というか、本心が「自我・我欲によるもの」なのか「利他の精神」なのかを判断し、自我・我欲が強いと感じたら、企画の練り直しを要求するようにしています。

経営幹部の自我・我欲の中で、最も多いのが「認められたい」という気持ちです。それが出世であったり、給料アップの欲求として現れてきたりすることがあります。その気持ちが強いと、部下や取引先を犠牲にして自分が出世するように行動する場合があります。

当社のクライアント社長に対してですが、社長が何か新しい事業なり、組織改革なりしたい場合は、奥底にある理由を探り、自我と利他を天秤にかけるようにしています。新しいことをしたい理由の奥底に自我があると、一時的に儲かるような新規事業であったとしても、自分自身を苦しめる結果になる場合が多いからです。

社長の自我・我欲の中で、最も多いのが「お金が欲しい」ということの焦りです。

起業したい人のモチベーションアップ

「起業したいので支援してもらいたい」とお考えの方には、まずチャンクアップ質問を重ねて行い、起業する理由を明確化するようにしています。

起業をすると、失敗が許されない部分がどうしても出てきます。その多くは、自分の甘さから来るものです。ある程度、軌道に乗るまで、真剣勝負の連続になります。

そういったストレスを耐え抜くためには、「趣味は何ですか?」と聞かれたら「仕事が趣味です」と言えるぐらいのモチベーションが必要です。

もしかしたら、モチベーションという言葉では足りないかもしれません。気が付いたら仕事のことを考えているぐらいでちょうどなのです。

その状態を維持するためにも、起業の動機が重要になります。

動機が単に儲けたいだけであれば、起業するよりも儲かる仕事はたくさんあるので、そちらを進めるようにしています。

起業したい人で、私からチャンクアップをされた方の中で、半分ぐらいの方は涙を流されます。その涙は、私が泣かしているのではなく、自分自身の心の奥底から出てくる美しい言葉に感動して涙されているようです。

社長の悩み相談

社長が悩み相談をされたときに、その悩みの本質を追求するために、チャンクアップ質問をすることがあります。

社長が悩むときは、取り越し苦労を除くと、問題の解決策が思いつかなかったり、選択肢を選べなかったりしているときです。

問題とは、理想と現実のギャップのことです。理想が低いことが原因で問題が出てきていると感じたときには、チャンクアップ質問をして理想を高められるように導くことがあります。

例えば、競合他社の攻めにあって弱気になっている社長から、「新規事業に手を出したい」と相談されたとします。競合他社に勝てないようで新規事業に手を出しても、それがうまくいくか分かりませんし、新規事業でも同じことが起こる可能性が高いです。

そこで、チャンクアップ質問を重ねて行い、起業の原点を思い出してもらうようにしています。すると、既存事業を行うモチベーションが戻ってきます。そのようにして、競合他社に対抗する闘志に火をつけてから、経営戦略立案をご支援するようにしています。

そうしないと、せっかく必勝の戦略を立てても、社長のマイナスの心から出てくる猜疑心で戦略がうまく機能しない場合もあるからです。「これなら絶対に勝てる!」と思っていただくこと以上に、「絶対勝つのだ!」という気持ちが大事です。

経営理念の作成

当社では、経営理念コンサルティング支援を行っていますが、経営理念を作成するときに、まず社長が実現したいことを聞くことから始めます。そのときに、チャンクアップ質問を重ねていきます。

社長に起業した理由を尋ねると、質問に慣れないうちは「お金が欲しい」とか「生活のため」という自我の目的を語られることもあります。しかし、社長ができる実力をお持ちであれば、社長業という大変な仕事をしなくても、生活のためでしたら務めた方が良いでしょう。

必ず、隠された起業の理由があるはずです。それをチャンクアップ質問で掘り下げていき、動機の部分を明確にしていきます。例えば、「恵まれない子供たちを幸せにしたい」とか「美味しい料理を通じて幸せを実感してもらいたい」といった利他の動機を語られます。

会社が目指す姿というものは、そういった利他の動機が最大化した姿です。それを会社の最終ゴールのビジョンとして、経営理念に盛り込むようにしています。そのビジョンが従業員に浸透していくと、それが大義名分となって、従業員たちは経営理念を受け入れて、経営理念に基づいた仕事ができるように成長していきます。

いくつかチャンクアップ質問の活用例をご紹介いたしましたが、他にもたくさんの活用場面があります。日常の会話の中では、何かお仕事の依頼を受けたときに、その趣旨を確かめるために、チャンクアップ質問をするようにしています。

チャンクアップ質問を使う場合の注意点

チャンクアップ質問の効果と活用場面をお話ししてきましたが、「チャンクアップ質問はとても良いではないか」とお感じになられたことでしょう。

ここで、チャンクアップ質問の注意点をお話ししておきます。

この注意点を理解しておかないと、チャンクアップ質問の効果がないばかりか、逆効果となって質問相手が心を閉ざしたり、怒り出したりすることもあるからです。

尋問されているように感じる場合がある

チャンクアップ質問は、基本的に「なぜ」を繰り返して質問をしていくのですが、聞き方を間違うと、尋問を受けているように感じる場合があります。

特にミスをした部下が、上司から「なぜだ、なぜだ、なぜだ」と聞かれたら、言えることも言えなくなると思います。このような尋問のような聞き方では、チャンクアップとは言いません。

チャンクアップ質問を繰り返し行う場合は、相手が質問に答えやすいような環境を作ってあげる必要があります。

例えば、コーチングの「傾聴」や「承認」などといったスキルと併用することです。

相手の思考力が低い場合

チャックアップ質問をしていく中で、相手の思考力が低い場合も、答えが出てきませんので、尋問に感じることがあります。

人は質問をされたら、とっさに考えて答えようとするものですが、思考力が低いと、思考がフリーズしてしまう場合があります。

そういった人には、チャンクアップ質問をする前に、「答えられない場合は、そのように言ってください」と伝えるなどして、逃げ道を作っておいてあげてください。

以上、コーチングのチャンクアップ質問の効果とビジネス活用について述べてきました。

チャンクアップ質問を使いこなすことができたら、部下の仕事のやる気を引き出すことにも応用できます。最近では、上司と部下の「1on1ミーティング」が言われるようになってきていますが、チャンクアップ質問を含めたコーチングスキルは、1on1ミーティングでとても有効な対話手法です。

ビジネスの現場でチャンクアップ質問を取り入れて、良いパートナーシップを築いてください。

ここで、コーチング入門講座のご案内をさせてください。

当社では、コーチングスキルを段階的にマスターしていくための研修をご用意しています。コーチング入門講座では、コーチングとはどのようなスキルなのか、その概要をつかみつつ、コーチングの基本スキルの一部を習得することができる講座です。

コーチングとはどのようなものなのか知りたい方や、コーチングをもう一度学び直したいという方におすすめの講座です。コーチング入門講座の詳細や開催日などの詳細は、ビジネスコーチ養成講座をご覧ください。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら数千を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくりる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

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