社長の夢実現への道

売上高が下がった原因を調べる方法

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売上高が下がった原因を調べる方法

先日、コラムで「売上高が下がる原因と点検項目」と「売上高が下がる傾向をいち早くつかむ方法」について述べました。

このコラムでは、売上高が下がる傾向をつかんだ場合、なぜ売上高が下がったのか、その原因を調べる方法をご紹介いたします。

中小企業で売上高が下がった原因追及と対策は、社長の直感で行われることが多いです。その直感が合っていたらよいのですが、間違っていたらさらに売上高を下げることにつながります。

次の目次のように、ごく当たり前の方法でしか、原因を正しくつかむことができませんので、ご了承ください。

社長自ら調べることが大事

社長自ら調べることが大事

売上高が下がった原因を調べることは、会社の存続にかかわる重要事項です。そのような重要事項は、社長自ら行う必要があります。

社長が自ら調べる理由

社長の直観力は、従業員とは比べものにならないぐらい高いものです。その直観力を活かして、わずかな情報、わずかな変化から、売上高が下がった原因を知ることができると思います。

ここで大事なことは、「内部資料だけでは原因は判らない」ということです。従業員からの報告は、従業員のフィルターにかかり、社長にとって必要な情報が上がってこない場合があります。また、情報は従業員にとって都合の悪いことが含まれていない可能性もあります。社長が自ら報告書を作成する意気込みで調査すべきです。

報告のルールづくり

しかし、社長自ら行動して情報を集めることには限界があります。そこで、社長に報告すべき内容を明確にして、報告をルール化すべきです。

例えば、冷凍食品メーカーで冷凍倉庫の冷凍機が1台壊れたとしましょう。そのため、冷凍倉庫の温度がなかなか下がらないけれども、従業員は「あと2台あるので、なんとか冷えるからよしとしよう」と考えたとします。

ところが、冷凍機の故障は品質にかかわる重要問題です。冷凍食品の冷える速度が遅くなり、品質が悪くなって売上高が下がったのであれば、社長なら修理を即決することでしょう。

社長は、社員に対して「何かあったら報告するように」と言われていても、社長に報告すべき何かが何のことか分からないのです。

何かトラブルがある毎に、社長に報告すべき内容を積み上げていって、その内容を全従業員で共有することが大事です。また、トラブルが起きたことを処罰するのではなく、不報告を厳重に処罰するようにルールを決めることが大事です。

従業員に売上が下がった理由を尋ねる

従業員に理由を尋ねる

最初に行うべきことは、売上高が下がった原因を、できればすべての従業員に尋ねることです。

よく顧客と接している営業や販売の担当者に尋ねがちですが、経理担当、製造担当など、すべての従業員に尋ねるようにしてください。

社長自ら顧客に会っている場合

店舗販売では、社長が自ら店頭で販売することはあります。社長が自ら顧客のところに出向いて仕事をしたり、営業や販売をしたりしているところもあります。そうすると、社長は顧客の傾向をつかむことができることでしょう。

そのような社長は、「私は顧客のことを知っている」と思われますが、売上高が下がる原因が、社内にある場合には、その原因をつかむことができません。社内のスタッフでも、従業員によっては「社長はもっとこのように指示を出したらよいのにな」と、会社の売上アップのことを考えている人もいるのです。

売上が下がっている原因は、社内のスタッフにも尋ねるようにしてください。

多店舗経営をしている場合

多店舗経営をしている場合

多店舗展開をしていると、すべての店舗で社長が店頭に立つわけにはいきません。社長が各店舗を巡回したとしても、従業員は社長が来ることで緊張するので、本音で意見を述べてくれない場合もあります。

各店舗の店長に売り上げが下がっている原因を、従業員から聞き取りをして、自分の意見をまぜないようにしつつ、社長に報告させるようにしてください。

従業員から本音が聞けるようにするためにも、店長は従業員との円滑な人間関係を構築することが求められます。

新人にも尋ねる

新人にも尋ねる

売上高が下がっている原因を、ベテラン社員に尋ねることが多いと思います。確かに、ベテラン社員の方が、もっともらしい原因を語ってくれることでしょう。

新人は、一見すると「仕事はわかっていないので、売上高が下がった理由の本質はつかんでいない」と思うかもしれませんし、その通りの場合が多いことでしょう。

しかし、人には偏見があります。社長でさえ、自分で見えているものは色眼鏡を通じて見えていることがあるはずです。同じものでも、人によって見え方が異なることが多いのです。

また、ベテランであれば当たり前になっている作業レベルのことは、新人には通用しません。新人からすると、「なぜ、そのようなムダなことをするのか?」と思っていることもあります。新人が故に、ベテランに意見できないこともあるのです。

ですので、社長命令にしてでも、意見は新人を含めて広く集めるようにしてください。

伴侶に聞く

伴侶に聞く

男性社長で、「妻に会社不振の原因を聞いて、経営が回復した」という話をときどき聞きます。

従業員でなく、あまり経営のことを知らない奥様であったとしても、話をしているうちに解決策が思いついたりする場合もあります。

「家庭には仕事の話を持ち込まない」と決めている社長もいらっしゃることと思いますが、会社の経営が不安定な場合は、伴侶の方も心配していると思います。奥様は一生懸命経営をしている社長を見て、意見があったとしても「私があまり何も言わない方が良い」と考える人もいます。

思い切って話をしてみると、思わぬ解決策を思いつくこともあるのです。

不報告を罰する

不報告を罰する

売上高が落ちている原因が、従業員個人が原因だったとしましょう。その原因が上司や社長の耳に入ったときに、上司や社長が激怒する場合があります。そのような組織では、報告が粉飾されると知るべきです。

社員は自己保身があり、粉飾された報告を上げる人もいます。自分に都合が悪くなるような原因を、上司に報告しない場合もあることでしょう。「怒られる」と分かっていて報告するお人好しはいません。

特別な事情を除いて、誰しもミスをしようと思って仕事をする人はいません。売上高が下がるようなミスをしてしまっても、それを挽回できるのは社長です。社長の耳にその原因が報告されなければ、社長は挽回の仕様がありません。

社長はミスをしたことを罰するのではなく、ミスの不報告を罰するようにしてください。

顧客に顧客離れの理由を尋ねる

顧客に顧客離れの理由を尋ねる

次に、自社商品が売れないときに、その原因を顧客に直接聞くことをお勧めします。なぜ当社の商品を選ばずに、競合他社の商品を選んだのか、恥を忍んで尋ねてください。存外、教えてくれる場合があります。

机上で原因を考えても、それが本当の原因とは限りませんが、顧客が本音で語ったことは、それは100%正しいと見て良いでしょう。実は、この方法で売れない原因を調べるこが、最も効果的だと思います。

顧客に聞く理由

とある冷凍食品メーカーで、売上高が下がってしまった話を聞いたことがあります。その会社の社長は、「市場は、もっと安い冷凍食品を求めている」と思って、原材料費を削ってさらに安い冷凍食品を開発しました。

ところが、さらに売上高が下がってしまって、どうしたものか悩んだ社長は、コンサルタントの指導を受け、自社商品が陳列されているスーパーマーケットに行って、自社商品がどのように扱われているのかを見ることにしました。

社長は、スーパーマーケットでは、自社で一生懸命開発した商品を横目に、競合他社商品が次々と売れていくのを見て愕然としていました。その中のお一人に、「なぜこの商品を選ばずに、こちらの商品を選んだのでしょうか?」と訊ねたところ、「こちらの方が美味しいからです」と、聞いた人全員に言われたそうです。

つまり、社長は「安い冷凍食品が売れる」と思っていたところ、実際には「美味しい冷凍食品が売れる」という市場の変化があったのです。

机上の空論で考えていると、社長は間違った判断をし続け、売上高をどんどん下げていってしまいかねません。顧客から直接の理由を聞くことができたら、それをそのまま改善に利用できます。

その冷凍食品の社長は、会社に戻ってすぐさま美味しくて高付加価値の冷凍食品の開発を行い、売上高をV字回復させたそうです。

アンケートの実施

コンシューマ向けの商品やサービスを販売している企業では、アンケートを実施することがあります。

アンケートを取る方法は、ネットとリアルがありますが、リアルでお客様の声を直接聞けることが理想です。お客様から直接聞く場合には、正しくアンケートを取るための従業員教育も大事になります。

今はありませんが、とあるラーメンのチェーン店では、カウンターやテーブルにアンケートはがきが置いてあり、その宛先がフランチャイザーの社長室になっていたことに驚いたことがありました。大手企業でも、お客様の意見は社長が直接知りたいものだと思いました。

従業員にとっては「たいしたクレームではない」と感じたとしても、社長からすると「これは大変だ」と思うこともあるわけです。

そのような常設されているアンケートは、よほどのことがなければ書いてくれないものですが、たまたまクレームを書いてくださったお客様には、感謝してもし切れないものがあると思います。

クレームを受け入れる

お客様からクレームがあった場合に、従業員によっては、クレームを聴いている振りをする人がいます。

「クレームを聴くことは、自分の業務とは関係ない」、「会社では決まっているルールがあるので、それに従っただけだ」といった、いろいろな理由があると思います。自分の不手際を隠蔽しようとする人もいます。

そのクレームも、従業員からは大事だとは主な枠手も、社長からすると重大なことに感じる場合があります。クレームは聞くのではなく、受け入れることが大事です。

ですので、社長命令で、「クレームはすべて社長に報告せよ」と打ち出しても良いくらいです。不報告を罰するところでも述べましたが、「クレームを出したことは問わない。クレームの不報告は厳罰を下す」という具合です。

「クレームが1件あると、他にも20~30人の人が同じようなことを思っている」と言われています。20~30人のお客様は、クレームを言わずに会社を利用しなくなっていくのです。

同じクレームが2件あったら、重大事項として取り上げるべきです。

コンサルタントに尋ねる

売上高が下がった理由をコンサルタントに尋ねる場合もあることでしょう。コンサルタントに依頼する場合の、コンサルタント選びとコンサルタントの対応について、ご説明いたします。

コンサルタント選び

コンサルタントと言っても、さまざまなジャンルがあります。適切なジャンルのコンサルタントに尋ねなければ、トンチンカンなことを聞いて、それを信じてしまいかねません。コンサルタントの系統としては、「戦略系」や「営業系」のコンサルタントで、できれば経営全般が見られるコンサルタントが適切だと思われます。

コンサルタントによっては、対応できる事業規模がありますし、販売方法についても専門性があったりします。大企業のセオリーを中小企業に適用しても、うまくいかないことは、世の常です。店舗経営に強いコンサルタントや、Web集客に強いコンサルタントもいます。

また、社長とコンサルタントとの相性もあります。

まず、コンサルタントと何度か面談して簡易相談し、自社に合ったコンサルタントを選ぶようにしてください。

コンサルタントは原因や対策を即答できない

コンサルタントは原因や対策を即答できない

コンサルタントとは専門的な知識を備えているとは言え、社長とお会いしていきなり答えが出せるわけではありません。

それは、そのコンサルタントが能力不足なわけではなく、直観ですぐに原因がわかる人もいますが、「調べてもいないのに即答はできない」ということで、即答できないのです。

私自身、会社にお伺いした瞬間に、「わが社はどうしたらいいのでしょうか?」と聞かれたことがときおりあります。しかし、お会いしたばかりだと一般論のお話しはできますが、的確な回答はできません。

コンサルタントとの付き合い方

コンサルタントは社長といっしょに現場を回り、社長や現場の人にさまざまな角度の質問をして、わからないことがあれば社長に調べてもらうなどして、初めて的確な回答が出せます。結局、従業員や顧客に尋ねてもらって、情報を集めてもらうことから始めます。

コンサルタントは、あくまでも社長を補佐しながら売上高が下がった原因や対策を探ることが役割です。コンサルタントからの即席の回答を期待しないでください。

社長は、コンサルタントからの質問を受け答えしながら、コンサルタントと売上高が下がった真因とその対策を探ることになります。

そして、コンサルタントの意見は、あくまでも参考意見として、社長の意思決定を深めるために利用します。コンサルタントからの意見があれば、社長が納得できた意見を採用し、納得できないものは採用すべきではありません。そして、コンサルタントの意見を採用しない場合は、なぜ採用しなかったのかを、コンサルタントに共有すると良いでしょう。

業界の関係者に聞く

業界の関係者に聞く

自社の売上高が下がった原因を、業績が伸びている競合他社に聞くことができたら、これほど心強いものはありません。

同業他社からは、なかなか教えてもらえるものではありませんが、取引先からは教えてもらいやすいです。

同業他社に聞く

企業の再建などで、業界をまったく経験したことのない人が社長に就任した場合、競合他社が教えてくれる場合もあります。アサヒビールを再建した、樋口廣太郎(1926年~2012年)氏が有名です。

さて、競合他社はお人好しにも、自社の問題点を指摘してくれることはありません。自社がライバル視されていたら、それだけ口も堅くなります。うかつに原因をしゃべってしまって、競合他社が元気になってしまったら大変です。

しかし、聞いてみなければわかりません。謙虚さがあれば、本音で教えてもらえるかもしれません。

本田技研工業の創立者である本田宗一郎(1906年~1991年)氏は、ライバル企業の社長に経営のアドバイスをしたり、ライバル会社に技術支援したりした記録が残っています。もしかしたら、本田宗一郎のように、器量の大きい人物が身近にいるかもしれません。

取引先に聞く

同業他社でなくても、取引先に聞くことはできると思います。卸先や仕入先から売上高が下がっている原因を聞くことは大事です。

仕入先の場合は、自社の売上高にも直結するので、いっしょに考えてくれる場合もあると思います。

反対に同業他社から聞かれた場合

余談ですが、反対に同業他社から、売上高が下がっている原因を聞かれた場合の対応をお教えいたします。

ちなみに当社では、営業コンサルティング支援をさせていただいた企業の社長には、なぜ業績が回復したのか、ぜったいに話さないように促しています。

社長には「理由はわからないけれども、売上高が伸びたようだ」とか「当社は老舗なので、老舗の信頼性が求められるようになったのかな?」という具合に、はぐらかしたり、異なる情報を伝えたりするように練習してもらうこともあります。

調べた情報をどのように分析するのか?

調べた情報をどのように分析するのか?

売上高が下がった原因を調べていくうちに、いくつかの原因や対策を思いつくことと思います。

原因は、緊急度と重要度で4種類に分類します。緊急度の高いもので重要なものは、すぐさま対応すべきものです。

例えば、冷凍食品の企業で、「冷凍機が故障して、食品の温度が下がるのに時間がかかるようになり、味や品質が落ちた」ということであれば、衛生に関わることでもあるので、冷凍機を緊急修理すべきです。

また、緊急性は低くても重要度の高いものがあります。企業では、どうしても重要でなくても緊急度の高いものが優先されがちですが、緊急でない重要なことを、積極的にスケジュールに組み込むようにすべきです。

例えば、従業員の顧客対応の悪さが原因であれば、緊急ではありませんが重要なことです。その顧客対応マニュアルの整備や従業員教育の計画を見直さなければいけません。

以上、売上高が下がった原因を調べる方法について述べました。ここで述べた内容は概要に過ぎませんが、ご参考になれば幸いです。

もし、売上高が下がった原因と対策を調べるためのコンサルティング支援をお求めであれば、ぜひ当社にご相談ください。

当社にコンサルティングをご依頼いただければ、経営のセオリーに基づいて原因を調べ、クライアント企業様のご事情に応じて対策を練るので、効果的な対策が打てるものと自負しています。

ご連絡をお待ちしております。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら数千を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくりる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

プロフィール詳細


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